ニューヨークの小さいフォークアートミュージアム

数年ぶりにニューヨークに旅行に行って来ました。色々な刺激を受ける街ですが、たくさんの博物館や美術館を訪れてみるのも楽しい過ごし方の一つです。
リンカーンセンターにあるアメリカン・フォークアート・ミュージアムでは2018年1月7日まで、軍服に使われた生地を使って作られたキルトの展示が行われています。もちろん、実物を見て来ました!

アメリカン・フォークアート・ミュージアム
アメリカン・フォークアート・ミュージアム

この展示はこのフォークアート・ミュージアムとインターナショナル・キルト・スタディ・センター&ミュージアムとリンカーン・ネブラスカ大学のコラボレーションで実現したもので、アネット・ゲロ博士により監修されたものです。展示されているキルトは、ほぼ男性の手により、幾何学模様をフィーチャーし、軍服に用いられた生地を使用した珍しい作品ばかりです。
その軍服の生地は英国の軍人が着用していたもので、質の良いウールなどでした。これらのキルトは「兵隊キルト」「回復キルト」などと呼ばれ、19世紀に起きたクリミア戦争が背景にあります。
ロバーツ兵が作ったパッチワークキルトは3枚あると言われます。なぜ男性が軍服でキルトを作ったのかという理由の一つとしては、余暇があるとついお酒を飲みたいという誘惑に負けてしまうため、パッチワークキルト作りで、気を紛らわせという一説もあるそうです。

プライベート・ロバーツとパッチワークキルト
ロバーツ兵とパッチワークキルト

たくさんの星がデザインされた兵隊キルトは、すべて手縫いでパッチワークとキルトが施され、ボタンホールを作るときにくり抜かれた生地も捨てずに、星の中心に縫われています。色もカラフルで独自なものが多く、赤や紺などが多く使われ、英国軍人のインド駐在兵が着ていた軍服が使われています。作者は不明ですが、1860年から1880年頃に作られました。生地の状態はとても良く、色もまだ鮮やかです。特にこのキルトはランクの高い軍人ために作られたものだと伝えられています。

星いっぱいの兵隊キルト
星いっぱいの兵隊キルト

多くのキルトは1インチ(約2.5cm)角よりも小さいピースを繋げ合わせて大きなキルトを作っています。その手法はとても細かいです。
また、1800年中期に起こったナポレオン戦争のさなかに作られたフェルトウールのキルトは初期の頃のインターシャと呼ばれるテクニックが入っています。そのような珍しいキルト作品がこの会場には展示してあります。
もともと240ページからなる「戦争時のキルト」(Wartime Quilts by The Beagle Press 2015)の本から紹介されたキルトが展示されています。

インターシャとは、編み機なので象眼細工のようなはめ込んだ模様をつくる柄編みから来ている手法と言われています。「象眼で飾る」という意味はイタリア語に由来すると言われています。

キルト作者の絵とキルトが展示されているものもありました。トーマス・ウォーカー兵は1854年11月5日にクリミア戦争中に頭に大けがをし、その後12回に及ぶ、手術を受けた兵士でした。その間、キルト作りに専念し、色々な嫌な事を忘れようとしたり、キルト作りに集中することにより、邪念を振り払うということで作業をしていたようです。今の時代もキルト作りはとても集中するので、無心になれるというのは昔と変わっていないようですね。このキルトも、軍服を使用しています。
パッチワークとキルトの手法は、同じ病院に入院していた兵士の妻から習ったそうです。その後、その姿を見たアーティストによりこの絵が完成されました。
イギリスのヴィクトリア女王も彼を見舞ったということで新聞でも話題になったそうです。

トーマス・ウォーカーが病床でキルトを作っている絵とそのキルト
トーマス・ウォーカー兵が病床でキルトを作っている絵とそのキルト

こちらは「ホーリー・ローマン・エンパイア・インターシャ・キルト」というかなり大きなキルトです(2.5m x2.5m 角)。作者不明ですが、1850年くらいにプロセインまたはオーストリアにて作られたものです。インターシャの手法が使われ、手縫いのアップリケと刺繍が施され、ベルリンのシャルロッテンブルグ宮殿をイメージして作られたものです。

ホーリー・ローマン・エンパイア・インターシャキルトは1850年頃に作られたもの
ホーリー・ローマン・エンパイア・インターシャキルトは1850年頃に作られたもの

戦争のキルトというテーマはちょっと暗くてどうかな?とおもったのですが、色使いがカラフルなこと、ウールを感じさせない細やかなパターンは、小さいピースワークで男性が作ったなんて思えない(これは固定観念ですね)ことなど、全然暗いイメージはなく、むしろ力強いキルトという印象でした。カムフラージュなどの色ではなく、赤、紺、白がベースになっているキルトは希望のキルトのようにも見えました。このキルト展示はアメリカでは初めての試みだったそうですが、本を読んでもう少し勉強してみたいと思えるような素敵な作品でした。

今回は、ヨーロッパからの移民が、アメリカ合衆国を目指し、日に何万人と立ち寄ったエリス島も行きましたので、アメリカ合衆国のメルティングポットのベースを垣間見たような素敵な旅行となりました。パッチワークキルトも奥が深いことに再認識しました。

戦争キルトの展示
戦争キルトの展示

*”War and Pieced: The Annette Gero Collection of Quilts from Military Fabrics”
exhibition is supported in part by Joyce Berger Cowin, the David Davies and Jack Weeden Fund for Exhibitions, the Ford Foundation, Just Folk: Marcy Carsey/Susan Baerwald, public funds from the New York City Department of Cultural Affairs in partnership with the City Council, the New York State Council on the Arts with the support of Governor Andrew M. Cuomo and the New York State Legislature, and Roberta and Ralph S. Terkowitz.

 

By アン

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ニューヨークのアメリカン・フォークアート・ミュージアムhttp://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2017/11/eyecatch-quilt230.jpghttp://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2017/11/eyecatch-quilt230-150x150.jpg藤原小百合アンキルトパラダイスアメリカンフォークアートミュージアム,ニューヨーク,兵隊キルト,回復キルトニューヨークの小さいフォークアートミュージアム 数年ぶりにニューヨークに旅行に行って来ました。色々な刺激を受ける街ですが、たくさんの博物館や美術館を訪れてみるのも楽しい過ごし方の一つです。 リンカーンセンターにあるアメリカン・フォークアート・ミュージアムでは2018年1月7日まで、軍服に使われた生地を使って作られたキルトの展示が行われています。もちろん、実物を見て来ました! この展示はこのフォークアート・ミュージアムとインターナショナル・キルト・スタディ・センター&ミュージアムとリンカーン・ネブラスカ大学のコラボレーションで実現したもので、アネット・ゲロ博士により監修されたものです。展示されているキルトは、ほぼ男性の手により、幾何学模様をフィーチャーし、軍服に用いられた生地を使用した珍しい作品ばかりです。 その軍服の生地は英国の軍人が着用していたもので、質の良いウールなどでした。これらのキルトは「兵隊キルト」「回復キルト」などと呼ばれ、19世紀に起きたクリミア戦争が背景にあります。 ロバーツ兵が作ったパッチワークキルトは3枚あると言われます。なぜ男性が軍服でキルトを作ったのかという理由の一つとしては、余暇があるとついお酒を飲みたいという誘惑に負けてしまうため、パッチワークキルト作りで、気を紛らわせという一説もあるそうです。 たくさんの星がデザインされた兵隊キルトは、すべて手縫いでパッチワークとキルトが施され、ボタンホールを作るときにくり抜かれた生地も捨てずに、星の中心に縫われています。色もカラフルで独自なものが多く、赤や紺などが多く使われ、英国軍人のインド駐在兵が着ていた軍服が使われています。作者は不明ですが、1860年から1880年頃に作られました。生地の状態はとても良く、色もまだ鮮やかです。特にこのキルトはランクの高い軍人ために作られたものだと伝えられています。 多くのキルトは1インチ(約2.5cm)角よりも小さいピースを繋げ合わせて大きなキルトを作っています。その手法はとても細かいです。 また、1800年中期に起こったナポレオン戦争のさなかに作られたフェルトウールのキルトは初期の頃のインターシャと呼ばれるテクニックが入っています。そのような珍しいキルト作品がこの会場には展示してあります。 もともと240ページからなる「戦争時のキルト」(Wartime Quilts by The Beagle Press 2015)の本から紹介されたキルトが展示されています。 インターシャとは、編み機なので象眼細工のようなはめ込んだ模様をつくる柄編みから来ている手法と言われています。「象眼で飾る」という意味はイタリア語に由来すると言われています。 キルト作者の絵とキルトが展示されているものもありました。トーマス・ウォーカー兵は1854年11月5日にクリミア戦争中に頭に大けがをし、その後12回に及ぶ、手術を受けた兵士でした。その間、キルト作りに専念し、色々な嫌な事を忘れようとしたり、キルト作りに集中することにより、邪念を振り払うということで作業をしていたようです。今の時代もキルト作りはとても集中するので、無心になれるというのは昔と変わっていないようですね。このキルトも、軍服を使用しています。 パッチワークとキルトの手法は、同じ病院に入院していた兵士の妻から習ったそうです。その後、その姿を見たアーティストによりこの絵が完成されました。 イギリスのヴィクトリア女王も彼を見舞ったということで新聞でも話題になったそうです。 こちらは「ホーリー・ローマン・エンパイア・インターシャ・キルト」というかなり大きなキルトです(2.5m x2.5m 角)。作者不明ですが、1850年くらいにプロセインまたはオーストリアにて作られたものです。インターシャの手法が使われ、手縫いのアップリケと刺繍が施され、ベルリンのシャルロッテンブルグ宮殿をイメージして作られたものです。 戦争のキルトというテーマはちょっと暗くてどうかな?とおもったのですが、色使いがカラフルなこと、ウールを感じさせない細やかなパターンは、小さいピースワークで男性が作ったなんて思えない(これは固定観念ですね)ことなど、全然暗いイメージはなく、むしろ力強いキルトという印象でした。カムフラージュなどの色ではなく、赤、紺、白がベースになっているキルトは希望のキルトのようにも見えました。このキルト展示はアメリカでは初めての試みだったそうですが、本を読んでもう少し勉強してみたいと思えるような素敵な作品でした。 今回は、ヨーロッパからの移民が、アメリカ合衆国を目指し、日に何万人と立ち寄ったエリス島も行きましたので、アメリカ合衆国のメルティングポットのベースを垣間見たような素敵な旅行となりました。パッチワークキルトも奥が深いことに再認識しました。 *”War and Pieced: The Annette Gero Collection of Quilts from Military Fabrics” exhibition is supported in part by Joyce Berger Cowin, the David Davies and Jack Weeden Fund for Exhibitions, the Ford Foundation, Just Folk: Marcy Carsey/Susan Baerwald, public funds from the...ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る