カロ(Kalo)はサトイモ科の仲間です。湿潤な熱帯を中心に110属1500種が世界に分布します。花穂を包みこむような苞と、ハートに似た葉を持つ種が多いのが特徴で、ミズバショウのように水生のもののほか、他の植物に着生する種もあります。一般には、サトイモやタロイモ、コンニャクのように食用とされるものと、アンスリウムのように観賞用に栽培されるものがあります。サモアではタロ(talo)、タヒチでもタロ(taro)と呼ばれるように、タロイモはポリネシアに広く行き渡り、さらにはミクロネシアやメラネシアにも伝播しました。

収獲したカロ
収獲したカロ

ハワイではキャプテン・クックがハワイを訪れた18世紀末以降、300を越える品種があったとされます。ポリネシア人が持ちこんだカロの種類がこれだけあったということではなく、ハワイの歴史のなかで品種改良が続けられた結果です。この背景にはアフプアアという文化があります。人々が暮らす最小単位の自治体をアフプアアと呼びますが、どの自治体も固有のカロを育てた結果、多くの品種が誕生しました。

生長したカロ(タロイモ)
生長したカロ(タロイモ)

カロは清涼な水を必要とするため、土地を流れる川の上流部に水田(ロイ)を作りました。使用済みの用水はそのまま海へ流されることはなく、排水路の手前に砂山を作り、そのなかを通すことで濾過させました。アフプアアは細長い土地なので自分たちに与えられた海岸の幅も狭く、海水が汚染して漁に影響が出るのを防いだのです。

栄養価

芋以外にも若葉の軟らかい部分や、葉の全体が野菜として利用できます。またビタミンA及びCの重要な供給源となります(未熟な葉を収穫するときには、葉の上半分だけを破り取り、葉身の基部を残し、芋の成長に影響を与えないようにしました)。葉柄と花は食用として用いられました。葉柄は皮を剥いて、花は仏炎苞とその基部が捨てられ、穂状の花のみが食用とされました。全ての部分はウム(地面に掘ったオーブンのようなもの)で蒸し焼きにして利用しました。

カロの水田(ロイ)
カロの水田(ロイ)

歴史

カロは、ハワイを含むポリネシア人の重要な主食のひとつです。水耕と陸耕があり、通常は水耕栽培(水田)ですが、飢饉のときなどは陸耕のカロを食べました。根の部分に育つイモ(根茎)を切り採り、残りは再び水田の泥に刺して次の成長を待ちます。カロは、ウムで蒸してから叩き潰し、水を混ぜながら練ったものを食べます。これはポイと呼ばれ、プリンのような食感があります。ポイは完全食と言われ、ハワイでは赤ん坊の離乳食代わりに用いられました。ポイ以外にも、発酵させたり、焼いたり、茹でて食べることもあります。花は仏炎苞と呼ばれるミズバショウの苞のようなものに包まれ、その基部に穂状に育ちます。ただし、あまり花は付きません。日本のサトイモと同じ学名ですが、品種は異なります。日本でタロイモと呼ぶ場合は、南方系のサトイモの総称として用いられます。

 

伝統文化

タロを焼いたものはアオ、地下茎はオハ、葉はルアウ、葉と塊根をカットした残り(種づけ用)はフリと呼ばれます。また、ディナーパーティーとして知られるルアウは、カロの葉(ルアウ)に由来し、王朝時代まではディナーのときにカロの葉を敷き、その上に食べ物が置かれ、人が座りました。今日、カロには500を超える品種があります。かつては首長しか食べることのできない品種もありました。また、男女が同じテーブルでカロを食べてはいけないというカプ(タブー)もありました。

ポイは水をほとんど入れないと餅になります。また、水の割合によって粘性が異なり、水分の少ないものは指1本でもすくえるという意味でワンフィンガー、多いものは3本の指を使わないと垂れて落ちることからスリーフィンガーと呼びます。ハワイの俗語として、ケチな人間のことをスリーフィンガーと呼ぶこともあります。

ポイを作る
ポイを作る

タロの精神

ハワイの人々にとってカロは日本の米以上に重要な食物です。その昔、天空の神であるワーケアと、その娘であるホオホクカラニ(*)との間に産まれた子は死産でした。彼らがその亡骸を土中に埋めると、やがてそこから芽が出てカロが育ちました。その後、彼らには人の先祖となるハーロアという男児が授かりました。そのためハワイでは、カロと人間は兄弟の関係があるとされます。

*娘のホオホクカラニではなく、大地の女神であり、ワーケアの妻であるパパ(パパハーナウモク)との子である、との説もあります。

植物知識

タロ(カロ)は、サトイモ科の有用植物で、学名を Colocasia esculenta と言います。ハワイ名は Kalo 、英名は Taro または Dasheen です。和名はタロイモですが、サトイモ科のため、サトイモと呼ばれることもあります。原産地はインドからインドシナにかけての地域で、ポリネシア人によって広く太平洋の島々に広がりました。多年草(1~1.5m)で、花穂(花の集合体)は 4~6cmです。

花穂(穂状の花)
花穂(穂状の花)
カロ(タロイモ)http://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2018/03/special234.jpghttp://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2018/03/special234-150x150.jpg近藤純夫特集カロ,タロ,ハワイ,ポイカロ(Kalo)はサトイモ科の仲間です。湿潤な熱帯を中心に110属1500種が世界に分布します。花穂を包みこむような苞と、ハートに似た葉を持つ種が多いのが特徴で、ミズバショウのように水生のもののほか、他の植物に着生する種もあります。一般には、サトイモやタロイモ、コンニャクのように食用とされるものと、アンスリウムのように観賞用に栽培されるものがあります。サモアではタロ(talo)、タヒチでもタロ(taro)と呼ばれるように、タロイモはポリネシアに広く行き渡り、さらにはミクロネシアやメラネシアにも伝播しました。 ハワイではキャプテン・クックがハワイを訪れた18世紀末以降、300を越える品種があったとされます。ポリネシア人が持ちこんだカロの種類がこれだけあったということではなく、ハワイの歴史のなかで品種改良が続けられた結果です。この背景にはアフプアアという文化があります。人々が暮らす最小単位の自治体をアフプアアと呼びますが、どの自治体も固有のカロを育てた結果、多くの品種が誕生しました。 カロは清涼な水を必要とするため、土地を流れる川の上流部に水田(ロイ)を作りました。使用済みの用水はそのまま海へ流されることはなく、排水路の手前に砂山を作り、そのなかを通すことで濾過させました。アフプアアは細長い土地なので自分たちに与えられた海岸の幅も狭く、海水が汚染して漁に影響が出るのを防いだのです。 栄養価 芋以外にも若葉の軟らかい部分や、葉の全体が野菜として利用できます。またビタミンA及びCの重要な供給源となります(未熟な葉を収穫するときには、葉の上半分だけを破り取り、葉身の基部を残し、芋の成長に影響を与えないようにしました)。葉柄と花は食用として用いられました。葉柄は皮を剥いて、花は仏炎苞とその基部が捨てられ、穂状の花のみが食用とされました。全ての部分はウム(地面に掘ったオーブンのようなもの)で蒸し焼きにして利用しました。 歴史 カロは、ハワイを含むポリネシア人の重要な主食のひとつです。水耕と陸耕があり、通常は水耕栽培(水田)ですが、飢饉のときなどは陸耕のカロを食べました。根の部分に育つイモ(根茎)を切り採り、残りは再び水田の泥に刺して次の成長を待ちます。カロは、ウムで蒸してから叩き潰し、水を混ぜながら練ったものを食べます。これはポイと呼ばれ、プリンのような食感があります。ポイは完全食と言われ、ハワイでは赤ん坊の離乳食代わりに用いられました。ポイ以外にも、発酵させたり、焼いたり、茹でて食べることもあります。花は仏炎苞と呼ばれるミズバショウの苞のようなものに包まれ、その基部に穂状に育ちます。ただし、あまり花は付きません。日本のサトイモと同じ学名ですが、品種は異なります。日本でタロイモと呼ぶ場合は、南方系のサトイモの総称として用いられます。   伝統文化 タロを焼いたものはアオ、地下茎はオハ、葉はルアウ、葉と塊根をカットした残り(種づけ用)はフリと呼ばれます。また、ディナーパーティーとして知られるルアウは、カロの葉(ルアウ)に由来し、王朝時代まではディナーのときにカロの葉を敷き、その上に食べ物が置かれ、人が座りました。今日、カロには500を超える品種があります。かつては首長しか食べることのできない品種もありました。また、男女が同じテーブルでカロを食べてはいけないというカプ(タブー)もありました。 ポイは水をほとんど入れないと餅になります。また、水の割合によって粘性が異なり、水分の少ないものは指1本でもすくえるという意味でワンフィンガー、多いものは3本の指を使わないと垂れて落ちることからスリーフィンガーと呼びます。ハワイの俗語として、ケチな人間のことをスリーフィンガーと呼ぶこともあります。 タロの精神 ハワイの人々にとってカロは日本の米以上に重要な食物です。その昔、天空の神であるワーケアと、その娘であるホオホクカラニ(*)との間に産まれた子は死産でした。彼らがその亡骸を土中に埋めると、やがてそこから芽が出てカロが育ちました。その後、彼らには人の先祖となるハーロアという男児が授かりました。そのためハワイでは、カロと人間は兄弟の関係があるとされます。 *娘のホオホクカラニではなく、大地の女神であり、ワーケアの妻であるパパ(パパハーナウモク)との子である、との説もあります。 植物知識 タロ(カロ)は、サトイモ科の有用植物で、学名を Colocasia esculenta と言います。ハワイ名は Kalo 、英名は Taro または Dasheen です。和名はタロイモですが、サトイモ科のため、サトイモと呼ばれることもあります。原産地はインドからインドシナにかけての地域で、ポリネシア人によって広く太平洋の島々に広がりました。多年草(1~1.5m)で、花穂(花の集合体)は 4~6cmです。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る