レインボー・フォールズ

虹が架かる滝

ハワイ島ヒロの街中を流れるワイルク川にはいくつもの滝が架かります。なかでも大きな人気を呼ぶのがレインボー・フォールズです。この滝は名前のとおり、滝壺に虹が架かることで知られます。滝のハワイ名をワイアーヌエヌエと言いますが、これには「水の中に見える虹」という意味があります。朝の陽光が差すと、滝から舞い上がる水滴が日差しに反射して虹がかかることから、この名前がつきました。英名も同じ由来です。ただし虹が出るのは午前中のみ。滝を正面にして自分の背後42度前後に太陽があるときに虹は出ます。

滝の落差は24m、滝の下のプールは直径が約30mほどあります。水量は雨季と乾季で大きな差があるだけでなく、数日雨が続くだけでも大きな違いがあります。降雨が続くと川幅いっぱいに白濁した水が流れ落ち、下のプールも激流となるほどです。ワイルクというハワイ語には「破壊する水」という意味がありますが、その通りの迫力となります。

レインボー・フォールズの架かるワイルク川は、マウナ・ケアの山腹を流れ下ってヒロ湾に注ぎます。ハワイの川は、乾季には水量が極端に減ったり、消失してしまうものが多いですが、ワイルク川は1年を通じて流れます。1日平均で約100万立方メートルの水量があり、増水時はその20倍近くの水が流れます。この豊富な水量を活かし、河口付近では水力発電も行われています。また、およそ1日10トンの堆積物をヒロ湾に流し続けています。

増水した滝

レインボー・フォールズについては、さまざまな物語が語り継がれてきました。なかでも半神マウイの母親である女神ヒナの神話がよく知られます。滝の背後には大きな洞窟があり、ここにヒナが住んでいたという言い伝えがあります。彼女はこの洞窟でカパという布をつくりました。ワウケとママキという、ハワイ固有の樹の皮を水に浸け、天日にあてて乾燥させたます。これを再び水に浸けながらよく叩いて作ったものをカパと呼び、衣類や敷物にしました。カパは非常に強靱な上に肌触りのよいものでした。女神ヒナは、このカパを作るため、毎日樹皮を叩いていました。ときおり、息子のマウイも母の手伝いをしたとされます。

ヒナが住む洞窟の上流には、モオ・クナという名の巨大なトカゲがいて、ときどき川を氾濫させました。滝から岩を落とし、彼女の平和な作業を中断させたのです。あるとき、モオ・クナがとりわけ大きな岩を滝から落としたため、川はそこで堰き止められてしまいました。水位が上がり洞窟が水没すると知ったヒナは、息子のマウイに助けを求める合図を出しました。マウイは自分のカヌーをわずか2かきでマウイ島からワイルク川の河口まで持ってきました。彼は上流に進み、問題の大岩を一撃で破壊しました。それで母の命は救われました。

ボイリング・ポッド

これを見たモオ・クナは上流から逃げ出しました。マウイは川の下にできた穴に隠れていたモ・オ・クナを発見し、槍で刺し殺そうとしました。しかし、大トカゲは下流に逃れ、深い穴のなかに身を隠してしまいました。それでもマウイは追い続け、ついにモオ・クナを見つけ出しました。彼は火の女神ペレを呼び、溶岩を川に流して大トカゲを追い出すよう頼みました。溶岩がモオ・クナの隠れている川を襲ったとき、水は沸騰して空中高く立ちのぼりました。そして大トカゲは死んだのです。マウイは死体をレインボー・フォールズから投げ捨て、母なる海へ帰したのでした。

マウイの乗ったカヌーはプウエオ橋の上流側で見ることができます。川にかかった溶岩の一部がカヌーのような形をしています。また、モオ・クナが最後に隠れた場所はボイリング・ポット(煮えたぎる鍋)と呼ばれ、ワイルク川州立公園の景勝地のひとつとなっています。河床の奇岩がつくり出す白濁した川面は、レインボー・フォールズの3kmほど上流で見ることができます。河床にできた深いポットホール(球形の穴)は、冬場の増水期などに川が運ぶ小石などが渦によって回転し、それが河床の岩をえぐって丸い穴をつくる現象です。ちなみに、この川をつくった溶岩は、およそ1万年ほど前のものだと言われています。さらにその上流にはペエペエ・フォールズやワイアレ・フォールズなどがあります。

マウイのカヌー岩(川沿いの細長い岩)

レインボー・フォールズへは、ヒロのダウンタウンからワイアヌエヌエ・アベニューを西進し、5分ほどで到着します。駐車場の先に滝を眺めると展望台があるほか、左手の階段を登った先からも滝を俯瞰することができます。その裏手にはバニヤンやマンゴーの巨木があり、季節には無数のマンゴーが周囲に転がっています。

 

レインボー・フォールズhttp://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2018/04/special235.jpghttp://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2018/04/special235-150x150.jpg近藤純夫特集ハワイ島,ヒロ,レインボーフォールズ,レインボー滝,ワイルク川レインボー・フォールズ ハワイ島ヒロの街中を流れるワイルク川にはいくつもの滝が架かります。なかでも大きな人気を呼ぶのがレインボー・フォールズです。この滝は名前のとおり、滝壺に虹が架かることで知られます。滝のハワイ名をワイアーヌエヌエと言いますが、これには「水の中に見える虹」という意味があります。朝の陽光が差すと、滝から舞い上がる水滴が日差しに反射して虹がかかることから、この名前がつきました。英名も同じ由来です。ただし虹が出るのは午前中のみ。滝を正面にして自分の背後42度前後に太陽があるときに虹は出ます。 滝の落差は24m、滝の下のプールは直径が約30mほどあります。水量は雨季と乾季で大きな差があるだけでなく、数日雨が続くだけでも大きな違いがあります。降雨が続くと川幅いっぱいに白濁した水が流れ落ち、下のプールも激流となるほどです。ワイルクというハワイ語には「破壊する水」という意味がありますが、その通りの迫力となります。 レインボー・フォールズの架かるワイルク川は、マウナ・ケアの山腹を流れ下ってヒロ湾に注ぎます。ハワイの川は、乾季には水量が極端に減ったり、消失してしまうものが多いですが、ワイルク川は1年を通じて流れます。1日平均で約100万立方メートルの水量があり、増水時はその20倍近くの水が流れます。この豊富な水量を活かし、河口付近では水力発電も行われています。また、およそ1日10トンの堆積物をヒロ湾に流し続けています。 レインボー・フォールズについては、さまざまな物語が語り継がれてきました。なかでも半神マウイの母親である女神ヒナの神話がよく知られます。滝の背後には大きな洞窟があり、ここにヒナが住んでいたという言い伝えがあります。彼女はこの洞窟でカパという布をつくりました。ワウケとママキという、ハワイ固有の樹の皮を水に浸け、天日にあてて乾燥させたます。これを再び水に浸けながらよく叩いて作ったものをカパと呼び、衣類や敷物にしました。カパは非常に強靱な上に肌触りのよいものでした。女神ヒナは、このカパを作るため、毎日樹皮を叩いていました。ときおり、息子のマウイも母の手伝いをしたとされます。 ヒナが住む洞窟の上流には、モオ・クナという名の巨大なトカゲがいて、ときどき川を氾濫させました。滝から岩を落とし、彼女の平和な作業を中断させたのです。あるとき、モオ・クナがとりわけ大きな岩を滝から落としたため、川はそこで堰き止められてしまいました。水位が上がり洞窟が水没すると知ったヒナは、息子のマウイに助けを求める合図を出しました。マウイは自分のカヌーをわずか2かきでマウイ島からワイルク川の河口まで持ってきました。彼は上流に進み、問題の大岩を一撃で破壊しました。それで母の命は救われました。 これを見たモオ・クナは上流から逃げ出しました。マウイは川の下にできた穴に隠れていたモ・オ・クナを発見し、槍で刺し殺そうとしました。しかし、大トカゲは下流に逃れ、深い穴のなかに身を隠してしまいました。それでもマウイは追い続け、ついにモオ・クナを見つけ出しました。彼は火の女神ペレを呼び、溶岩を川に流して大トカゲを追い出すよう頼みました。溶岩がモオ・クナの隠れている川を襲ったとき、水は沸騰して空中高く立ちのぼりました。そして大トカゲは死んだのです。マウイは死体をレインボー・フォールズから投げ捨て、母なる海へ帰したのでした。 マウイの乗ったカヌーはプウエオ橋の上流側で見ることができます。川にかかった溶岩の一部がカヌーのような形をしています。また、モオ・クナが最後に隠れた場所はボイリング・ポット(煮えたぎる鍋)と呼ばれ、ワイルク川州立公園の景勝地のひとつとなっています。河床の奇岩がつくり出す白濁した川面は、レインボー・フォールズの3kmほど上流で見ることができます。河床にできた深いポットホール(球形の穴)は、冬場の増水期などに川が運ぶ小石などが渦によって回転し、それが河床の岩をえぐって丸い穴をつくる現象です。ちなみに、この川をつくった溶岩は、およそ1万年ほど前のものだと言われています。さらにその上流にはペエペエ・フォールズやワイアレ・フォールズなどがあります。 レインボー・フォールズへは、ヒロのダウンタウンからワイアヌエヌエ・アベニューを西進し、5分ほどで到着します。駐車場の先に滝を眺めると展望台があるほか、左手の階段を登った先からも滝を俯瞰することができます。その裏手にはバニヤンやマンゴーの巨木があり、季節には無数のマンゴーが周囲に転がっています。  ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る