長かった梅雨も明けて、すっかり夏になりました。ハワイ日和では、夏にハワイの海をご紹介する事が多いのですが、今、ハワイの海は、なかなか行けないよー、と仰る方のために、今ではなくても、なかなか行けないハワイの海をご紹介します。あれ? 何かおかしいですね。まあそれはともかく、今回は私の体験談を、そんな場所もあるんだなあ、大変だったねえ、という温かいお心でお読みいただけると幸いです。

ラ・ペルーズ湾への溶岩が続く道
ラ・ペルーズ湾への溶岩が続く道

マウイ島のキヘイからワイレア、マケナと続く海岸線は、ホテルやコンドミニアムが並ぶリゾート・エリアです。多くの観光客で賑わうこの地域も、南端のマケナを過ぎると、道路を走る車も少なめ、更には道幅も狭め。周囲は乾燥した荒地になり、やがて熔岩大地の中へと道は続いています。ちょっとハワイ島に似ている風景です。この道の終点が、ラ・ペルーズ湾です。ラ・ペルーズ(日本語表記では「ラ・ペロウズ」や「ラ・パルーズ」などと書かれる事も)は、フランス人の探検家。ハワイに来た探検家と言えば、キャプテン・クックが有名ですが、ラ・ペルーズは初めてマウイ島を訪れた白人探検家で、この湾から上陸したそうです。

フランス人探検家ラ・ペルーズが上陸した、ラ・ペルーズ湾
フランス人探検家ラ・ペルーズが上陸した、ラ・ペルーズ湾

ラ・ペルーズ湾の周辺に広がる溶岩台地は、ハレアカラ山から流れた、一番最近の溶岩だそうです。最近、と言っても1790年に流れたらしい、とのことなので、もう200年以上も前ですね。この辺りは、ハワイアンの古い村があった場所で、集落やヘイアウ(ハワイアンの寺院)の跡が残っています。ハワイの伝説や、逸話も多い場所です。現在、ラ・ペルーズ湾はサーフ・ポイントとして有名ですが、遊泳にはあまり向かないそう。でも、イルカが湾内を泳いでいることもある、とも聞きます。そして、この一帯は、アヒヒ・キナウ自然保護区に指定されています。

アヒヒ・キナウ自然保護区での注意がたくさん書かれています
アヒヒ・キナウ自然保護区での注意がたくさん書かれています

アヒヒ・キナウ自然保護区には、絶滅が危惧される、ハワイ固有の生物や植物も見られる貴重な生態系、またハワイの中でも、大変素晴らしいと言われるサンゴ礁があります。世界でも珍しいアンキアライン池(地下で海とつながっているため、海水と淡水が共存する池)もあり、淡水・海水両方の希少な生物が住んでいるそうです。現在は、保護区の北側にあるアヒヒ湾に面した、一部の海岸のみが公開されています。とても人気のあるビーチですが、保護区内にある物を持ち出したり、魚に餌付けをしたりすることは厳禁です。日焼け止めの代わりに、ラッシュガードなどを着て泳ぐことも推奨されています。

自然保護区内のアンキアライン池
自然保護区内のアンキアライン池

さて、今から10年以上前のことです。その当時、アヒヒ・キナウ自然保護区は、南側の地域も含めた大部分が公開されていました。この南側の地域には、海岸線に沿って、魚がたくさんいる入り江がいくつもあります。中でも、アクアリウムと呼ばれる入り江には、魚がうじゃうじゃいるそうです。魚がうじゃうじゃ…、それは行ってみたい! と、私はうきうきしながらラ・ペルーズ湾にやって来ました。アクアリウムまでは、溶岩台地を少し歩かないといけない、と言うことなので、ハイキングシューズを履いていますが、泳ぎに行くので軽装です。でも、海岸沿いで高低差もないし、距離も短いし、と気楽な散歩気分でした、歩き出すまでは・・。

アア溶岩が行く手を阻む
アア溶岩が行く手を阻む

歩き出してすぐに、人気のある場所なので、きっと分かりやすいトレイルがあるだろう、という期待は崩れ去りました。前にお話ししたように、自然保護区のほとんどは、ハレアカラ山から流れた溶岩に覆われています。その溶岩の上を歩くのですが、先人が歩いた跡がほとんど分かりません。こっちかな、いやいや、あっちかも、と不安に思いながら歩きます。加えてこの辺りの溶岩は、ほとんどがゴツゴツしたアア溶岩です。滑らかなパホエホエ溶岩に比べて、アア溶岩の上を歩くのは、とてもとても大変です。何しろアア溶岩の語源は、その上を歩いた時に、あまりに痛くて「ああっ!」叫んだからだそう。鋭く尖ったアア溶岩は、少し当たっただけでも、怪我をしそうです。ましてや転んだら、と思うと慎重に歩かざるを得ません。でも、水着にビーチサンダル、荷物はシュノーケル道具だけで、ひょいひょいと溶岩の上を歩いて行く人もいて、スキルの違いを思い知らされるのでした。

途中の入り江もきれい、もうここで泳ごうかなあ(泳いだのはここではありません)
途中の入り江もきれい、もうここで泳ごうかなあ(泳いだのはここではありません)

「ああ、もういいよ、ここでも十分だよ」ついに、アクアリウムまで歩くことをギブ・アップしました。目の前には、小さな入り江があります。広さは8畳ほど、子供プールくらいの大きさですが、アア溶岩に囲まれた入り江は、外海の波から隔てられ、湖のように静かです。子供プールのような入り江に、どぼん! 入って見てビックリ!! 水の中には、本当に魚がうじゃうじゃいました。もはや、どこを見ても魚だらけです。かつてこれ程、魚密度の高い場所に来たことがありません。入り江は深いし、海中でもアア溶岩に当たらないよう、気をつけなければいけませんが、魚を見るのについつい夢中になってしまいます。数が多いだけではなく、種類もかなり多く、ツノダシやキイロハギ、アライグマのような顔のチョウハン、小さなシマハギは、100匹くらいいそうです、うわー!

入り江には魚がいっぱい!
入り江には魚がいっぱい!

ここまでの道中は、かなりブルーだったのですが、すっかりテンション高めです。シュノーケルを楽しんで、休憩していると、アクアリウムから帰って来た、と思われる人が通りかかりました。「もうちょっと歩くと、もっと大きな入り江があるよ」と、親切に教えてくれましたが、私はこのミニ・アクアリウムで十分です。本物のアクアリウムへは、次回、ジャージを着て行けばいいよね…ところが! アヒヒ・キナウ自然保護区の大部分が、養生のため、閉鎖されてしまいました。養生期間は2年を予定されていましたが、その2年が過ぎる頃に、養生期間の延長が決まり、更にまた延長…と、今だに公開される気配はありません。行きたい場所に行くチャンスを逃すと、なかなか行けなくなったりするものですね。自然保護のために行けなくなるのは仕方ありませんが、行きたい場所に早くまた行けるようになりますように。

ハワイの海へ行きたい!<マウイ島>https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2020/08/hawaiibiyori263.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2020/08/hawaiibiyori263-150x150.jpgNOPUハワイ日和アクアリウム,アヒヒ・キナウ自然保護区,サンゴ礁,ハワイ,マウイ島,ラ・ペルーズ湾,ラ・ペロウズ湾長かった梅雨も明けて、すっかり夏になりました。ハワイ日和では、夏にハワイの海をご紹介する事が多いのですが、今、ハワイの海は、なかなか行けないよー、と仰る方のために、今ではなくても、なかなか行けないハワイの海をご紹介します。あれ? 何かおかしいですね。まあそれはともかく、今回は私の体験談を、そんな場所もあるんだなあ、大変だったねえ、という温かいお心でお読みいただけると幸いです。 マウイ島のキヘイからワイレア、マケナと続く海岸線は、ホテルやコンドミニアムが並ぶリゾート・エリアです。多くの観光客で賑わうこの地域も、南端のマケナを過ぎると、道路を走る車も少なめ、更には道幅も狭め。周囲は乾燥した荒地になり、やがて熔岩大地の中へと道は続いています。ちょっとハワイ島に似ている風景です。この道の終点が、ラ・ペルーズ湾です。ラ・ペルーズ(日本語表記では「ラ・ペロウズ」や「ラ・パルーズ」などと書かれる事も)は、フランス人の探検家。ハワイに来た探検家と言えば、キャプテン・クックが有名ですが、ラ・ペルーズは初めてマウイ島を訪れた白人探検家で、この湾から上陸したそうです。 ラ・ペルーズ湾の周辺に広がる溶岩台地は、ハレアカラ山から流れた、一番最近の溶岩だそうです。最近、と言っても1790年に流れたらしい、とのことなので、もう200年以上も前ですね。この辺りは、ハワイアンの古い村があった場所で、集落やヘイアウ(ハワイアンの寺院)の跡が残っています。ハワイの伝説や、逸話も多い場所です。現在、ラ・ペルーズ湾はサーフ・ポイントとして有名ですが、遊泳にはあまり向かないそう。でも、イルカが湾内を泳いでいることもある、とも聞きます。そして、この一帯は、アヒヒ・キナウ自然保護区に指定されています。 アヒヒ・キナウ自然保護区には、絶滅が危惧される、ハワイ固有の生物や植物も見られる貴重な生態系、またハワイの中でも、大変素晴らしいと言われるサンゴ礁があります。世界でも珍しいアンキアライン池(地下で海とつながっているため、海水と淡水が共存する池)もあり、淡水・海水両方の希少な生物が住んでいるそうです。現在は、保護区の北側にあるアヒヒ湾に面した、一部の海岸のみが公開されています。とても人気のあるビーチですが、保護区内にある物を持ち出したり、魚に餌付けをしたりすることは厳禁です。日焼け止めの代わりに、ラッシュガードなどを着て泳ぐことも推奨されています。 さて、今から10年以上前のことです。その当時、アヒヒ・キナウ自然保護区は、南側の地域も含めた大部分が公開されていました。この南側の地域には、海岸線に沿って、魚がたくさんいる入り江がいくつもあります。中でも、アクアリウムと呼ばれる入り江には、魚がうじゃうじゃいるそうです。魚がうじゃうじゃ…、それは行ってみたい! と、私はうきうきしながらラ・ペルーズ湾にやって来ました。アクアリウムまでは、溶岩台地を少し歩かないといけない、と言うことなので、ハイキングシューズを履いていますが、泳ぎに行くので軽装です。でも、海岸沿いで高低差もないし、距離も短いし、と気楽な散歩気分でした、歩き出すまでは・・。 歩き出してすぐに、人気のある場所なので、きっと分かりやすいトレイルがあるだろう、という期待は崩れ去りました。前にお話ししたように、自然保護区のほとんどは、ハレアカラ山から流れた溶岩に覆われています。その溶岩の上を歩くのですが、先人が歩いた跡がほとんど分かりません。こっちかな、いやいや、あっちかも、と不安に思いながら歩きます。加えてこの辺りの溶岩は、ほとんどがゴツゴツしたアア溶岩です。滑らかなパホエホエ溶岩に比べて、アア溶岩の上を歩くのは、とてもとても大変です。何しろアア溶岩の語源は、その上を歩いた時に、あまりに痛くて「ああっ!」叫んだからだそう。鋭く尖ったアア溶岩は、少し当たっただけでも、怪我をしそうです。ましてや転んだら、と思うと慎重に歩かざるを得ません。でも、水着にビーチサンダル、荷物はシュノーケル道具だけで、ひょいひょいと溶岩の上を歩いて行く人もいて、スキルの違いを思い知らされるのでした。 「ああ、もういいよ、ここでも十分だよ」ついに、アクアリウムまで歩くことをギブ・アップしました。目の前には、小さな入り江があります。広さは8畳ほど、子供プールくらいの大きさですが、アア溶岩に囲まれた入り江は、外海の波から隔てられ、湖のように静かです。子供プールのような入り江に、どぼん! 入って見てビックリ!! 水の中には、本当に魚がうじゃうじゃいました。もはや、どこを見ても魚だらけです。かつてこれ程、魚密度の高い場所に来たことがありません。入り江は深いし、海中でもアア溶岩に当たらないよう、気をつけなければいけませんが、魚を見るのについつい夢中になってしまいます。数が多いだけではなく、種類もかなり多く、ツノダシやキイロハギ、アライグマのような顔のチョウハン、小さなシマハギは、100匹くらいいそうです、うわー! ここまでの道中は、かなりブルーだったのですが、すっかりテンション高めです。シュノーケルを楽しんで、休憩していると、アクアリウムから帰って来た、と思われる人が通りかかりました。「もうちょっと歩くと、もっと大きな入り江があるよ」と、親切に教えてくれましたが、私はこのミニ・アクアリウムで十分です。本物のアクアリウムへは、次回、ジャージを着て行けばいいよね…ところが! アヒヒ・キナウ自然保護区の大部分が、養生のため、閉鎖されてしまいました。養生期間は2年を予定されていましたが、その2年が過ぎる頃に、養生期間の延長が決まり、更にまた延長…と、今だに公開される気配はありません。行きたい場所に行くチャンスを逃すと、なかなか行けなくなったりするものですね。自然保護のために行けなくなるのは仕方ありませんが、行きたい場所に早くまた行けるようになりますように。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る