前回に続き、食欲の秋特集です。今までは、レストランやマーケットで「買って食べる」ものをご紹介してきましたが、今回は、なんと自分で「作って食べる」パンです。パンなんて家でもなかなか作らないものですが、ハワイでパン作りに参加してきました。それも、石釜で焼くパン! さて、どんなパンが焼けるのでしょうか。

『今日はパン作りにいい天気ね!』と、スタッフに声をかけられました
『今日はパン作りにいい天気ね!』と、スタッフに声をかけられました

コナ・ヒストリカル・ソサエティは、ハワイ島コナ地区で活動する非営利団体です。コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー・ファームの運営や、カイルア・コナの歴史散歩ツアーの開催など、史跡や文化の保存、継承を行っています。その活動の一つとして、伝統的なポルトガル式石釜を造り、パンを焼いているそう。少し前から私は、ポルトガル式石釜に興味を持ち、今も残っている石釜はないかな、と探していて、この再建された石釜のことを知りました。実際にパンを焼いている釜があるなんて! しかも、そのパン焼きに誰でも参加できるそう! それはぜひ参加してみたい!! と、ウキウキしながら、コナ地区へと向かいました。

ポルトガル式石釜。かなり大きい
ポルトガル式石釜。かなり大きい

ポルトガル式石釜が再建されたのは、カイルア・コナからは車で20分ほど、ケアラケクアにある、H.N.グリーンウエル・ストア博物館の裏手にある牧草地です。グリーンウエル・コーヒー農園がすぐ隣りなので、分かりやすいですね。さて、この日のパン焼き参加者は、スタッフの方々の他には、私とニューヨークから来た女性、途中から加わった西海岸から来たご夫婦でした。まずは手をキレイに洗って、スタッフから説明を聞きます。説明と言っても、テーブルに荷物を置かないでね、とか、パン生地以外のものを触ったら、また手を洗ってきてね、などの注意。あとは、パン生地を実際に成形しながら、コツをスタッフから教えてもらう、実地指導型で作業していきます。うまくできるかな。

スタッフと参加者でパン生地を成形
スタッフと参加者でパン生地を成形

パン生地は一次発酵中で、いくつもの大きな鍋に入っていました。スタッフが鍋からテーブルに、でろん、とパン生地を流し出し、量りながら同じ重さの塊りに切り分けていきます。その塊りを一つ頂くと、ここからスタッフの方々と参加者全員での作業です。各々に配られた塊りを更に七つに分け、一つ一つ丸めます。丸めた生地は、まずアルミホイルの皿の真ん中に一つ置き、後の六つを花びらのように丸く並べるとできあがりです。七つに丸めるのは、ポルトガルのラッキーナンバーが7だからだそう。それに、大きな塊りのまま焼くよりも、かわいいし食べやすそうですね。生地はホワイト(普通の白パン)、ホールウィート(全粒粉で作った茶色いパン)、スイート(砂糖とバター入り)の三種類。大鍋に入った生地は、まだまだたくさんあるようです。

二次発酵したパン生地が並ぶ
二次発酵したパン生地が並ぶ

実は、これから作るパンは、焼きあがり後すぐに販売されます。売り物になるパンを成形しているので、ちょっと緊張しつつ作業をしました。スタッフのみなさんは、手早くキレイに成形していくのですが、キレイに仕上げようとすると、なかなか手早くは作れません。それでも、2つ、3つ、と作るうちに、なんとなくコツがつかめてきました。石釜が据えられている広い牧草地からは、遠く眼下にケアラケクアの海が見えます。作業台のすぐ後ろにある大きな木からは、カーディナルの鳴き声が聞こえます。涼しい風に吹かれながら、柔らかなパン生地を丸めているのは、思った以上にとても楽しい。スタッフや参加者のみなさんと、ハワイ島観光の話をしながら、たくさんのパン生地を丸め終わったときは、もうちょっと作業をしたいかも、と少し寂しくなったほどです。

パン生地を石釜の中へ
パン生地を石釜の中へ

始めの方に成形したパン生地は、二次発酵して倍くらいに膨らみました。そのパン生地をいよいよ石釜に入れます。ポルトガル式石釜というのは、大きなドーム型で入り口は一つ。スタッフが早朝から石釜の中で薪を燃やし、釜を熱々の状態にしています。この薪はキアヴェを使っているそうです。キアヴェは、ハワイではよく見かける木で、花から上質のハチミツが取れることでも知られていますが、木は素晴らしい香りの薪にもなります。コナ・ヒストリカル・ソサエティがキアヴェを使っているのは、ハワイ固有種ではないことも理由だそうです。薪は既に釜から取り除かれていて、スタッフがどんどんパン生地を中に入れていきます。薪を燃やした余熱で、パンを焼くわけですね。釜の内部はとても大きく、一度に30個ほども焼けるそうです。

焼きあがったたくさんのパン
焼きあがったたくさんのパン

ハワイにポルトガル人が入植したのは、19世紀後半です。ポルトガル人は、宗教や文化など様々な面で、ハワイに影響を与えました。例えば、ウクレレはポルトガルの民族楽器がルーツです。食文化でも、ポルトガル・ソーセージやマラサダなど、ポルトガル風のものがハワイには根付いています。ポルトガル人たちは、パンを焼くために共同で(あるいは家族単位で)屋外に石釜を造りました。家族の絆が強く、コミュニティで集うことが多かったポルトガル人は、このオーブンでパンを焼き、時にはそれを、売ったり、物々交換をしたそうです。

牧草地に吹く風も気持ちのよい、パン作り体験でした
牧草地に吹く風も気持ちのよい、パン作り体験でした

さて、パンが焼きあがりました。次々とオーブンから熱々のパンが取り出されます。ちょっと焦げてしまったパンは「サンプルね」と、切り分けられて、みんなで試食しました。うーん、オーブンから出たてのパンが食べられるのは、パンを焼いた人(タイトルも『焼こう!』ですが、実際は『丸めた』だけ)の特権ですね。パンは1個8ドルで売られます。私も、最後に焼きあがったスイート生地のパンを買って、その場でお昼ご飯にしました。爽やかな風の中、自分で丸めた(かもしれない)パンを食べるのは素晴らしい。パンはかなり大きかったので、翌日の朝ごはんにもなりました。
<ポルトガル式石釜でのパン作り>

場所:H.N. Greenwell Store Museumの裏手の牧草地
時間:毎週木曜日の午前10時ごろから午後1時ごろまで

<パンの販売>

上記の場所で、午後1時ごろから
くわしくは、Kona Historical Societyのホームページやイベントカレンダーを参考にしてください。

http://www.konahistorical.org

ハワイ日和:パンを焼こう!<ハワイ島>https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2015/10/151015f.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2015/10/151015f-150x150.jpgNOPUハワイ日和カイルア・コナ,コナ・ヒストリカル・ソサエティ,パン,ポルトガル式,石釜前回に続き、食欲の秋特集です。今までは、レストランやマーケットで「買って食べる」ものをご紹介してきましたが、今回は、なんと自分で「作って食べる」パンです。パンなんて家でもなかなか作らないものですが、ハワイでパン作りに参加してきました。それも、石釜で焼くパン! さて、どんなパンが焼けるのでしょうか。 コナ・ヒストリカル・ソサエティは、ハワイ島コナ地区で活動する非営利団体です。コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー・ファームの運営や、カイルア・コナの歴史散歩ツアーの開催など、史跡や文化の保存、継承を行っています。その活動の一つとして、伝統的なポルトガル式石釜を造り、パンを焼いているそう。少し前から私は、ポルトガル式石釜に興味を持ち、今も残っている石釜はないかな、と探していて、この再建された石釜のことを知りました。実際にパンを焼いている釜があるなんて! しかも、そのパン焼きに誰でも参加できるそう! それはぜひ参加してみたい!! と、ウキウキしながら、コナ地区へと向かいました。 ポルトガル式石釜が再建されたのは、カイルア・コナからは車で20分ほど、ケアラケクアにある、H.N.グリーンウエル・ストア博物館の裏手にある牧草地です。グリーンウエル・コーヒー農園がすぐ隣りなので、分かりやすいですね。さて、この日のパン焼き参加者は、スタッフの方々の他には、私とニューヨークから来た女性、途中から加わった西海岸から来たご夫婦でした。まずは手をキレイに洗って、スタッフから説明を聞きます。説明と言っても、テーブルに荷物を置かないでね、とか、パン生地以外のものを触ったら、また手を洗ってきてね、などの注意。あとは、パン生地を実際に成形しながら、コツをスタッフから教えてもらう、実地指導型で作業していきます。うまくできるかな。 パン生地は一次発酵中で、いくつもの大きな鍋に入っていました。スタッフが鍋からテーブルに、でろん、とパン生地を流し出し、量りながら同じ重さの塊りに切り分けていきます。その塊りを一つ頂くと、ここからスタッフの方々と参加者全員での作業です。各々に配られた塊りを更に七つに分け、一つ一つ丸めます。丸めた生地は、まずアルミホイルの皿の真ん中に一つ置き、後の六つを花びらのように丸く並べるとできあがりです。七つに丸めるのは、ポルトガルのラッキーナンバーが7だからだそう。それに、大きな塊りのまま焼くよりも、かわいいし食べやすそうですね。生地はホワイト(普通の白パン)、ホールウィート(全粒粉で作った茶色いパン)、スイート(砂糖とバター入り)の三種類。大鍋に入った生地は、まだまだたくさんあるようです。 実は、これから作るパンは、焼きあがり後すぐに販売されます。売り物になるパンを成形しているので、ちょっと緊張しつつ作業をしました。スタッフのみなさんは、手早くキレイに成形していくのですが、キレイに仕上げようとすると、なかなか手早くは作れません。それでも、2つ、3つ、と作るうちに、なんとなくコツがつかめてきました。石釜が据えられている広い牧草地からは、遠く眼下にケアラケクアの海が見えます。作業台のすぐ後ろにある大きな木からは、カーディナルの鳴き声が聞こえます。涼しい風に吹かれながら、柔らかなパン生地を丸めているのは、思った以上にとても楽しい。スタッフや参加者のみなさんと、ハワイ島観光の話をしながら、たくさんのパン生地を丸め終わったときは、もうちょっと作業をしたいかも、と少し寂しくなったほどです。 始めの方に成形したパン生地は、二次発酵して倍くらいに膨らみました。そのパン生地をいよいよ石釜に入れます。ポルトガル式石釜というのは、大きなドーム型で入り口は一つ。スタッフが早朝から石釜の中で薪を燃やし、釜を熱々の状態にしています。この薪はキアヴェを使っているそうです。キアヴェは、ハワイではよく見かける木で、花から上質のハチミツが取れることでも知られていますが、木は素晴らしい香りの薪にもなります。コナ・ヒストリカル・ソサエティがキアヴェを使っているのは、ハワイ固有種ではないことも理由だそうです。薪は既に釜から取り除かれていて、スタッフがどんどんパン生地を中に入れていきます。薪を燃やした余熱で、パンを焼くわけですね。釜の内部はとても大きく、一度に30個ほども焼けるそうです。 ハワイにポルトガル人が入植したのは、19世紀後半です。ポルトガル人は、宗教や文化など様々な面で、ハワイに影響を与えました。例えば、ウクレレはポルトガルの民族楽器がルーツです。食文化でも、ポルトガル・ソーセージやマラサダなど、ポルトガル風のものがハワイには根付いています。ポルトガル人たちは、パンを焼くために共同で(あるいは家族単位で)屋外に石釜を造りました。家族の絆が強く、コミュニティで集うことが多かったポルトガル人は、このオーブンでパンを焼き、時にはそれを、売ったり、物々交換をしたそうです。 さて、パンが焼きあがりました。次々とオーブンから熱々のパンが取り出されます。ちょっと焦げてしまったパンは「サンプルね」と、切り分けられて、みんなで試食しました。うーん、オーブンから出たてのパンが食べられるのは、パンを焼いた人(タイトルも『焼こう!』ですが、実際は『丸めた』だけ)の特権ですね。パンは1個8ドルで売られます。私も、最後に焼きあがったスイート生地のパンを買って、その場でお昼ご飯にしました。爽やかな風の中、自分で丸めた(かもしれない)パンを食べるのは素晴らしい。パンはかなり大きかったので、翌日の朝ごはんにもなりました。 <ポルトガル式石釜でのパン作り> 場所:H.N. Greenwell Store Museumの裏手の牧草地 時間:毎週木曜日の午前10時ごろから午後1時ごろまで <パンの販売> 上記の場所で、午後1時ごろから くわしくは、Kona Historical Societyのホームページやイベントカレンダーを参考にしてください。 http://www.konahistorical.orgハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る