最近、ハワイの州旗を掲げて走る車や、家、路上サインなどを町中でよく見かける。ご存知の方も多いかと思われるが、これはビッグアイランド(ハワイ島)にあるマウナケア山の山頂に建設しようとしている巨大テレスコープ阻止に向けてのプロテスティングのためだ。

Ku kia’i Mauna !
山を守るために立ち上がれ!

というワードをキーにして、ハワイアンたち、ローカルたちが各地で反対運動を繰り広げている。各島の路上、公園、さまざまな場所で集会をやっているけれど、最大規模の集まりはマウナケア山頂でのプロテスティングだ。

マウナケア山は「ハワイで唯一スキーができるところ」で知られている通り、山頂には雪が積もっていたりする、標高4,205メートルという高山である。こんなところがハワイにあるのかっ!というくらいの、冬装備万全で出かける寒い場所である。

そしてこの場所はハワイアンにとっての「聖地」であり、もっとも天に、神のいる場所に近いところとして崇められて来た。山頂付近にはたくさんの先人たちの Iwi (イヴィ/骨)が埋められてもいる。

山頂付近の安定した気候、澄みきった空気。天体観測に適した環境ゆえに、現在、世界11ヶ国の研究機関が13基のテレスコープを山頂に建てている。そこに新たに巨大なテレスコープを建設するという案が進められて来て、ハワイアンたちが様々な反対運動を繰り広げて来た。そしていよいよ建設着手というタイミングに来て、ハワイアン、ローカルたちが建設現場に出向き、非暴力による反対運動に乗り出した。ちなみに山頂へのテレスコープの建設に際しては、13基以上は建てないという規約がある。今回の新テレスコープ建設はその規約にも反している。その条件を満たすには、まずすでに在る全ての建築物を壊すこと。
マウナケア山頂は、ハワイアンにとっては自分たちが大切に護って来た聖地である。大地に、文化に、歴史に土足で踏み込まれたように思うのは想像に易い。

SNS でも出回っていたけれど、たとえば富士山の山頂に、各国で聖地だと崇められている場所がほかの国から来た人々の手によって掘り起こされ、汚されてしまったら、どう思うだろう。

今回の建設作業ではその設計上、かなりな深度、範囲で土を掘り起こして工事が進むとされている。そうなれば先祖の人々のIwi (骨)はただただ廃棄されていくのだろうか。

各島の政府で違う意見があるようだけれど、カウアイ島政府は全面的に建設反対の意を示し、反対運動をサポートしていると聞き「よしっ!」とカウアイ島政府の選択を心強く思った。カウアイ島は現存するハワイ諸島の中では最も古いクプナ(長老)の島である。連綿と続いて来た景観、文化、歴史、聖地を守るのもクプナの責任だと思う。

今回の反対運動では最大時で2000人を超えるハワイアン&ローカルたちが立ち上がった。マウナケア山頂に建設チームが入れないように道路を閉鎖。現地ではあくまでも平和的なカタチでのプロテスティングを実施した。

カウアイ島、ポリアフ・ヘイアウに掲げられたハワイの旗と「Ku Kia’i Mauna」のサイン。
カウアイ島、ポリアフ・ヘイアウに掲げられたハワイの旗と「Ku Kia’i Mauna」のサイン。

クプナ(長老、年配者)たちが反対運動の最前列に立ち、チャンティングとフラ、ルア、オリ、チャンティングを続けていく。そして若い世代がそれに倣った。

途中、たくさんの逮捕者も出た。
クプナ(長老、年配者)の姿が多かった。

車椅子に乗って逮捕されていく人、ウォーカーを使いながら逮捕されていく人、おでこを地面につける形で祈り、その姿勢のまま逮捕されていく人、逮捕されていくアンティやアンクルに泣きながらハグする若い人たち。

見ているだけで胸が苦しくなる光景が動画で出回っていた。

だけれど逮捕される際にも士気をあげるチャンティングを詠唱し、ハワイアンのクプナたちの強い姿はあくまでも頼もしくもあった。

同時に逮捕する側の警察官たちの中にもハワイアンやローカルが多くいるはずで、今回の任務追行は酷務だったのではないだろうかと思う。

こういった反対運動の際には現地以外の場所から警察官が送られてくるというのがスタンダードだと聞くけれど、今回は現地ビッグアイランドからも警察官が山頂に送られたと聞く。(今回はグアム、ビッグアイランド、マウイから警察官が現地に入ったと聞いている)

いま私はシアトルに向かう機上の中でこれを書いている。今朝(7月31日)家を出る時の情報では、これから2年間は建設作業には一切着手しないと公表された。

SNS でも人々の喜びの姿がLIVE で流れていた。ひとまずの勝利。
実際には本来なら今年の9月までに工事を始めないと建設不可能だという約束があったところを、建設を推し進める側が期限を2年間伸ばした。これから2年間、建設反対派は忍耐強く闘いを続けていくことが、建設不可能への道となる。

昨日は激しい雨、強風に襲われていた山頂、その悪天候の中で踊り、チャンティングする姿を見て胸がぎゅぅっとワシづかみにされるようだったけれど、今朝の山頂は晴天、そして喜びに溢れていた。

この喜びには2つの想いがあるのだろうと思う。

1つは建設を、期限つきだとはいえひとまず止められたこと。もう1つは伝統的な、古代からのハワイアン流の祈りがちゃんと届くんだと実感したことじゃないだろうか。

今回の建設には

アメリカ、
日本、
インド、
中国、
カナダ、

が関わっている。

日本では、この建設に反対する人たちによって建設反対の署名活動も行われている。
一方で友人知人の中から「自分が何をできるかわからない」という声もわりと多く聞く。ハワイ現地にいてもまったく関心のないハワイアンやローカルも多くいる。1o人いれば10通りの意見や見方がある。チカラを合わせることは決して容易くはない。

我が家からの島の夕陽とワイアレアレ山のシルエット。自然だけが造った山稜のライン、いつまでもこのままで在ってほしい。
我が家からの島の夕陽とワイアレアレ山のシルエット。自然だけが造った山稜のライン、いつまでもこのままで在ってほしい。

何ができるのか分からないという時は、全力で祈り、願うところから始めてみれば良いんじゃないかと思う。何をしていいかわからないからとただ放っておく、自分とは関係のないことと横にポンっと置いておくのではなくて、何が起こっているかを知ってみるというのはどうだろうか。そして全力で祈る。そういう全力での祈り、願いはきっとMauna (マウナ/山)に届くのではないだろうか。

祈りや願いというのは非現実的で何も成さないという人もいるけれど、人が発する気持ちにも波動がある。たくさんの人々の波動が大きな1つのうねりとなって天に届くというのは、私にとっては現実的手法である。

今回、多くのハワイアンのクプナたちがその強く、諦めない姿、非暴力を持って反対を通す姿を若い世代がその目で見たことは、ハワイアンたちのこれからの未来を作っていくことに大きく影響するんだろうなと思う。

それから人の気持ちの中にある強さ、信じること、守ることの大切さを自分自身も改めて考えてみたいと思う。
ハワイに住んでいる日本人。異文化の中で暮らし、ハワイにも、母国日本からも距離のある私の在り方について改めて考えてみたいと思う。

Ku Kia’i Mauna 山を守るために立ち上がれ!https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2019/08/kauainikki251.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2019/08/kauainikki251-150x150.jpgミノリ エヴァンスカウアイ日記Ku Kia'i Mauna,マウナケア,反対運動,天文台,聖地最近、ハワイの州旗を掲げて走る車や、家、路上サインなどを町中でよく見かける。ご存知の方も多いかと思われるが、これはビッグアイランド(ハワイ島)にあるマウナケア山の山頂に建設しようとしている巨大テレスコープ阻止に向けてのプロテスティングのためだ。 Ku kia’i Mauna ! 山を守るために立ち上がれ! というワードをキーにして、ハワイアンたち、ローカルたちが各地で反対運動を繰り広げている。各島の路上、公園、さまざまな場所で集会をやっているけれど、最大規模の集まりはマウナケア山頂でのプロテスティングだ。 マウナケア山は「ハワイで唯一スキーができるところ」で知られている通り、山頂には雪が積もっていたりする、標高4,205メートルという高山である。こんなところがハワイにあるのかっ!というくらいの、冬装備万全で出かける寒い場所である。 そしてこの場所はハワイアンにとっての「聖地」であり、もっとも天に、神のいる場所に近いところとして崇められて来た。山頂付近にはたくさんの先人たちの Iwi (イヴィ/骨)が埋められてもいる。 山頂付近の安定した気候、澄みきった空気。天体観測に適した環境ゆえに、現在、世界11ヶ国の研究機関が13基のテレスコープを山頂に建てている。そこに新たに巨大なテレスコープを建設するという案が進められて来て、ハワイアンたちが様々な反対運動を繰り広げて来た。そしていよいよ建設着手というタイミングに来て、ハワイアン、ローカルたちが建設現場に出向き、非暴力による反対運動に乗り出した。ちなみに山頂へのテレスコープの建設に際しては、13基以上は建てないという規約がある。今回の新テレスコープ建設はその規約にも反している。その条件を満たすには、まずすでに在る全ての建築物を壊すこと。 マウナケア山頂は、ハワイアンにとっては自分たちが大切に護って来た聖地である。大地に、文化に、歴史に土足で踏み込まれたように思うのは想像に易い。 SNS でも出回っていたけれど、たとえば富士山の山頂に、各国で聖地だと崇められている場所がほかの国から来た人々の手によって掘り起こされ、汚されてしまったら、どう思うだろう。 今回の建設作業ではその設計上、かなりな深度、範囲で土を掘り起こして工事が進むとされている。そうなれば先祖の人々のIwi (骨)はただただ廃棄されていくのだろうか。 各島の政府で違う意見があるようだけれど、カウアイ島政府は全面的に建設反対の意を示し、反対運動をサポートしていると聞き「よしっ!」とカウアイ島政府の選択を心強く思った。カウアイ島は現存するハワイ諸島の中では最も古いクプナ(長老)の島である。連綿と続いて来た景観、文化、歴史、聖地を守るのもクプナの責任だと思う。 今回の反対運動では最大時で2000人を超えるハワイアン&ローカルたちが立ち上がった。マウナケア山頂に建設チームが入れないように道路を閉鎖。現地ではあくまでも平和的なカタチでのプロテスティングを実施した。 クプナ(長老、年配者)たちが反対運動の最前列に立ち、チャンティングとフラ、ルア、オリ、チャンティングを続けていく。そして若い世代がそれに倣った。 途中、たくさんの逮捕者も出た。 クプナ(長老、年配者)の姿が多かった。 車椅子に乗って逮捕されていく人、ウォーカーを使いながら逮捕されていく人、おでこを地面につける形で祈り、その姿勢のまま逮捕されていく人、逮捕されていくアンティやアンクルに泣きながらハグする若い人たち。 見ているだけで胸が苦しくなる光景が動画で出回っていた。 だけれど逮捕される際にも士気をあげるチャンティングを詠唱し、ハワイアンのクプナたちの強い姿はあくまでも頼もしくもあった。 同時に逮捕する側の警察官たちの中にもハワイアンやローカルが多くいるはずで、今回の任務追行は酷務だったのではないだろうかと思う。 こういった反対運動の際には現地以外の場所から警察官が送られてくるというのがスタンダードだと聞くけれど、今回は現地ビッグアイランドからも警察官が山頂に送られたと聞く。(今回はグアム、ビッグアイランド、マウイから警察官が現地に入ったと聞いている) いま私はシアトルに向かう機上の中でこれを書いている。今朝(7月31日)家を出る時の情報では、これから2年間は建設作業には一切着手しないと公表された。 SNS でも人々の喜びの姿がLIVE で流れていた。ひとまずの勝利。 実際には本来なら今年の9月までに工事を始めないと建設不可能だという約束があったところを、建設を推し進める側が期限を2年間伸ばした。これから2年間、建設反対派は忍耐強く闘いを続けていくことが、建設不可能への道となる。 昨日は激しい雨、強風に襲われていた山頂、その悪天候の中で踊り、チャンティングする姿を見て胸がぎゅぅっとワシづかみにされるようだったけれど、今朝の山頂は晴天、そして喜びに溢れていた。 この喜びには2つの想いがあるのだろうと思う。 1つは建設を、期限つきだとはいえひとまず止められたこと。もう1つは伝統的な、古代からのハワイアン流の祈りがちゃんと届くんだと実感したことじゃないだろうか。 今回の建設には アメリカ、 日本、 インド、 中国、 カナダ、 が関わっている。 日本では、この建設に反対する人たちによって建設反対の署名活動も行われている。 一方で友人知人の中から「自分が何をできるかわからない」という声もわりと多く聞く。ハワイ現地にいてもまったく関心のないハワイアンやローカルも多くいる。1o人いれば10通りの意見や見方がある。チカラを合わせることは決して容易くはない。 何ができるのか分からないという時は、全力で祈り、願うところから始めてみれば良いんじゃないかと思う。何をしていいかわからないからとただ放っておく、自分とは関係のないことと横にポンっと置いておくのではなくて、何が起こっているかを知ってみるというのはどうだろうか。そして全力で祈る。そういう全力での祈り、願いはきっとMauna (マウナ/山)に届くのではないだろうか。 祈りや願いというのは非現実的で何も成さないという人もいるけれど、人が発する気持ちにも波動がある。たくさんの人々の波動が大きな1つのうねりとなって天に届くというのは、私にとっては現実的手法である。 今回、多くのハワイアンのクプナたちがその強く、諦めない姿、非暴力を持って反対を通す姿を若い世代がその目で見たことは、ハワイアンたちのこれからの未来を作っていくことに大きく影響するんだろうなと思う。 それから人の気持ちの中にある強さ、信じること、守ることの大切さを自分自身も改めて考えてみたいと思う。 ハワイに住んでいる日本人。異文化の中で暮らし、ハワイにも、母国日本からも距離のある私の在り方について改めて考えてみたいと思う。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る