新年、明けましておめでとうございます。
みなさんとご家族にとって、新しい一年が、健やかで、
嬉しく楽しいことがいっぱいの日々になりますように願っています。

過去、「カウアイ日記」でも何度か書いてきたように、フラ・ライフの中での年末年始は「冬至の日」になると学んでいます。空の惑星たちが、新たな一周を始める日に、新しい年が始まるからだそうです。いかにも、”星の民”、ハワイアンの暦らしいですね。
そして「冬至の日」には、毎年のように、旧年に感謝を捧げ、新年を祝福する儀式を行います。通常は夕方6時に集合。集合してからは、飲食をしない軽い断食に入ります。そして真夜中12時あたり、昴がちょうど頭上に来るタイミングで儀式を始めます。儀式は数時間。砂浜の上でフラを踊り、チャンティング(詠唱)をして、最後は「Au A Ia(アウ・ア・イア)」というメレ(曲)を踊って終了します。
余談になるかもしれませんが、この「Au A Ia(アウ・ア・イア)」というメレ(曲)には、一定の規則に沿って構成がなされているフラ・カヒコ(伝統フラ)から外れる箇所があります。それはエンディングに、「締め」になるパフ(太鼓)のサウンドが入らないこと。儀式の終わりにこれを踊るのは、学ぶこと、生きること、すべてのことには終わりがない。ものごとは、命は続いていくのだということを現すそうです。
ハワイアンの人は「サヨナラ~」という言葉を使わない傾向にあるようですが、何かの終わりにはっきりとしたピリオドを打たない、ものごとは続いているのだと願い、信じる気持ちを込める … そういった精神がいろいろな場面で見られるような気がします。
なので、お別れの場面では「A Hui Hou!!! (ア・フイ・ホー/またね)」「Aloha !」という言葉が使われるのでしょうね。ハワイ語でそのまま「さよなら」にあたる言葉はないようです。

さて、「冬至」です。
毎年、12月21日、22日周辺にやってくる「冬至」。2015年、(北半球で)正午の太陽の高さがもっとも低くなったのは、22日でした。
ちょうどこの時期に、フラの旅で日本に行っていたこともあり、クム・フラ(フラの師匠)の提案で、冬至の儀式を日本で行うことになりました。それを聞いた日本のフラシスターたちはほとんどの人が大喜び。(中には寒さを心配して、嬉しいけれど寒いのヤダ…と腰が引けたメンバーもいたようですが。笑)私も日本の地で「冬至の儀式」を経験できるなんて思いもよらなかったので嬉しく思ったのですが、心配なのは天候です。

私「あの~、”冬至の儀式”というと、やはり屋外ですよね?」
クム「ん~、そうね、山か海かしら」
私「あの~、すっごく寒いと思いますけれど、大丈夫でしょうかね~?」
クム「雪が降るかも? ワンダフルー!」

ひたすらポジティブなクムのメッセージが返ってきました。
ちなみに「儀式」というと、カヒコの衣装を着ます。上はちょうどチューブトップのように両肩を出し、そこにパウスカート(フラ・スカート)を履くだけです。けっきょく気候のことはどれだけ心配をしても、当日になってみないと分かりません。各自、寒さ対策を怠らないようにとレンラクをし合ってその日を迎えました。

茅ヶ崎サザンビーチ。 江ノ島を背景に冬至の儀式。 写真提供 Naomi Muramatsu
茅ヶ崎サザンビーチ。
江ノ島を背景に冬至の儀式。
写真提供 Naomi Muramatsu

場所は、茅ヶ崎サザンビーチ。儀式を行うのは、6時間単位で選択がありますが、日本での冬至はハイヌーン(正午)にスタートとしました。当日を迎えてみると、晴天、青空、暖かい陽が射して、持参した防寒対策のアンダーウエアなどを着込むと軽く汗ばんでしまうような陽気となりました。日本のフラ・ファミリーも駆けつけてくれて、約100名のオラパ(フラの踊り手)、ホオパ(チャンター)が集まり、日本での初めての「冬至の儀式」が無事に終了しました。

海に向かって儀式のスタート。 天候に恵まれて、ほっ。写真提供 Naomi Muramatsu
海に向かって儀式のスタート。
天候に恵まれて、ほっ。
写真提供 Naomi Muramatsu

翌日はハワイに帰国です。
日本を22日に出ると、ハワイには同日に帰国となります。なので、ハワイではこの日が冬至。飛行機を降りて、カウアイの家に戻る前に「冬至の儀式」をオアフで行いました。場所はカイルアビーチ。今度は真夜中12時から朝6時まで(朝焼けの時間まで)です。そして、カウアイではなくオアフで、フラ・ファミリーと一緒に「冬至の儀式」をするのも初めての試みです。冬至の日を2回迎えるのも、日本やオアフで「冬至の儀式」をするのも初めて。特別と言えば、特別な年末年始です。

日本ではあんなに心配していた天候も、ハワイでの儀式では何の心配もありません。いつものようにカヒコの衣装をつけ、カイルアビーチに行くとすでに駐車場にはフラ・ファミリーたちが集まっている影があちらこちらに見えます。じーっと空を見上げるクム。いつも陽気なハワイアンたちですが、儀式の時は誰も口を聞かず、みんなが集まる周辺が静寂に満ちています。「さぁ、行きましょう」と静かにクムが言い、それぞれがビーチに歩き出します。昴が頭上に来たのが見えたようです。

そしてビーチに座り … 、

うわ、寒い! 痛いー! なんなんだ、これはっ!?

ビュンビュンと吹く海風が寒さを運び、おまけに砂浜の砂が音でも立つのではないかというくらい、肌に当たっているのです。
ふと隣にいるフラシスターでクム・フラのホアカレイの顔を見ると、その顔が「ヤバいね。」と、寒さと痛さで、逆に笑ってしまっています。私もつられて笑ってしまいそうになると、今度は2人とも笑いがとまりません。こんなに寒くて、こんなに痛くて、6時間 … 悪夢です。
反対側を見ると、私のクム・フラ、そしてクム・マプ(マプアナ・ディ・シルバ)がカヒコの衣装だけで凛と座っているのを見て、私も姿勢を正し、口元を引き締めました。

こちらは9月に行われたパリハイウエイ沿いでの儀式の模様。 そこだけ非日常な空間に変わる、儀式という時間。写真提供 Satoko Miyadate
こちらは9月に行われたパリハイウエイ沿いでの儀式の模様。
そこだけ非日常な空間に変わる、儀式という時間。
写真提供 Satoko Miyadate

いつも思うのですが、不思議なことに儀式が始まると、その最中は寒さは忘れてしまえるのです。今回も儀式が始まったあとは、寒さ、痛さは踊っている、チャンティングしている最中は感じずに済みました。
冬至の儀式でいつも思うのは、空の星のキレイさです。満天の星に見守られて新年を迎えられるシアワセを毎年のように感じます。けれど、今年のハワイの「冬至の儀式」での星の様子をなぜか憶えていません。雨が振り、風が吹き、砂が肌に当たって痛かったことだけを鮮明に憶えています。東の方角がほんのりと紅くなり、和紙にインクが染み込んでいくように、その紅色がどんどんと広がっていきます。儀式の終わりです。

儀式をする空間というのは、それがどんな儀式であっても、異空間。そして非日常な空間です。ビーチの儀式をしているその一帯だけが、ポンとタイム・トリップをしたような空間になります。普通に暮らしている人は、真夜中にこうしてこんな風に人々が集まり、昔のやり方でフラを踊り、チャンティングをしていることなど知りません。誰も知らない、観客もいない、暗闇の中でお互いの息づかいだけで、共に踊り、チャンティングをし、太鼓を叩くのです。

私の一年は、初めてずくしで明けました。
日本では暖かく、ハワイでは寒くて痛かったというのも予想外の出来事でした。これらの時間が今年の私の道を象徴するのかどうかは予想がつきませんが、今年もまた、新しいこと、新しい人との縁を結びながら大切に日々を歩いていきたいなと、紅く染まった空の下で思いました。

日本とハワイで、冬至の儀式https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/01/IMG_2915.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/01/IMG_2915-150x150.jpgミノリ エヴァンスカウアイ日記Au A Ia,アウ・ア・イア,ハワイ,フラ,冬至新年、明けましておめでとうございます。 みなさんとご家族にとって、新しい一年が、健やかで、 嬉しく楽しいことがいっぱいの日々になりますように願っています。 過去、「カウアイ日記」でも何度か書いてきたように、フラ・ライフの中での年末年始は「冬至の日」になると学んでいます。空の惑星たちが、新たな一周を始める日に、新しい年が始まるからだそうです。いかにも、”星の民”、ハワイアンの暦らしいですね。 そして「冬至の日」には、毎年のように、旧年に感謝を捧げ、新年を祝福する儀式を行います。通常は夕方6時に集合。集合してからは、飲食をしない軽い断食に入ります。そして真夜中12時あたり、昴がちょうど頭上に来るタイミングで儀式を始めます。儀式は数時間。砂浜の上でフラを踊り、チャンティング(詠唱)をして、最後は「Au A Ia(アウ・ア・イア)」というメレ(曲)を踊って終了します。 余談になるかもしれませんが、この「Au A Ia(アウ・ア・イア)」というメレ(曲)には、一定の規則に沿って構成がなされているフラ・カヒコ(伝統フラ)から外れる箇所があります。それはエンディングに、「締め」になるパフ(太鼓)のサウンドが入らないこと。儀式の終わりにこれを踊るのは、学ぶこと、生きること、すべてのことには終わりがない。ものごとは、命は続いていくのだということを現すそうです。 ハワイアンの人は「サヨナラ~」という言葉を使わない傾向にあるようですが、何かの終わりにはっきりとしたピリオドを打たない、ものごとは続いているのだと願い、信じる気持ちを込める … そういった精神がいろいろな場面で見られるような気がします。 なので、お別れの場面では「A Hui Hou!!! (ア・フイ・ホー/またね)」「Aloha !」という言葉が使われるのでしょうね。ハワイ語でそのまま「さよなら」にあたる言葉はないようです。 さて、「冬至」です。 毎年、12月21日、22日周辺にやってくる「冬至」。2015年、(北半球で)正午の太陽の高さがもっとも低くなったのは、22日でした。 ちょうどこの時期に、フラの旅で日本に行っていたこともあり、クム・フラ(フラの師匠)の提案で、冬至の儀式を日本で行うことになりました。それを聞いた日本のフラシスターたちはほとんどの人が大喜び。(中には寒さを心配して、嬉しいけれど寒いのヤダ…と腰が引けたメンバーもいたようですが。笑)私も日本の地で「冬至の儀式」を経験できるなんて思いもよらなかったので嬉しく思ったのですが、心配なのは天候です。 私「あの~、”冬至の儀式”というと、やはり屋外ですよね?」 クム「ん~、そうね、山か海かしら」 私「あの~、すっごく寒いと思いますけれど、大丈夫でしょうかね~?」 クム「雪が降るかも? ワンダフルー!」 ひたすらポジティブなクムのメッセージが返ってきました。 ちなみに「儀式」というと、カヒコの衣装を着ます。上はちょうどチューブトップのように両肩を出し、そこにパウスカート(フラ・スカート)を履くだけです。けっきょく気候のことはどれだけ心配をしても、当日になってみないと分かりません。各自、寒さ対策を怠らないようにとレンラクをし合ってその日を迎えました。 場所は、茅ヶ崎サザンビーチ。儀式を行うのは、6時間単位で選択がありますが、日本での冬至はハイヌーン(正午)にスタートとしました。当日を迎えてみると、晴天、青空、暖かい陽が射して、持参した防寒対策のアンダーウエアなどを着込むと軽く汗ばんでしまうような陽気となりました。日本のフラ・ファミリーも駆けつけてくれて、約100名のオラパ(フラの踊り手)、ホオパ(チャンター)が集まり、日本での初めての「冬至の儀式」が無事に終了しました。 翌日はハワイに帰国です。 日本を22日に出ると、ハワイには同日に帰国となります。なので、ハワイではこの日が冬至。飛行機を降りて、カウアイの家に戻る前に「冬至の儀式」をオアフで行いました。場所はカイルアビーチ。今度は真夜中12時から朝6時まで(朝焼けの時間まで)です。そして、カウアイではなくオアフで、フラ・ファミリーと一緒に「冬至の儀式」をするのも初めての試みです。冬至の日を2回迎えるのも、日本やオアフで「冬至の儀式」をするのも初めて。特別と言えば、特別な年末年始です。 日本ではあんなに心配していた天候も、ハワイでの儀式では何の心配もありません。いつものようにカヒコの衣装をつけ、カイルアビーチに行くとすでに駐車場にはフラ・ファミリーたちが集まっている影があちらこちらに見えます。じーっと空を見上げるクム。いつも陽気なハワイアンたちですが、儀式の時は誰も口を聞かず、みんなが集まる周辺が静寂に満ちています。「さぁ、行きましょう」と静かにクムが言い、それぞれがビーチに歩き出します。昴が頭上に来たのが見えたようです。 そしてビーチに座り … 、 うわ、寒い! 痛いー! なんなんだ、これはっ!? ビュンビュンと吹く海風が寒さを運び、おまけに砂浜の砂が音でも立つのではないかというくらい、肌に当たっているのです。 ふと隣にいるフラシスターでクム・フラのホアカレイの顔を見ると、その顔が「ヤバいね。」と、寒さと痛さで、逆に笑ってしまっています。私もつられて笑ってしまいそうになると、今度は2人とも笑いがとまりません。こんなに寒くて、こんなに痛くて、6時間 … 悪夢です。 反対側を見ると、私のクム・フラ、そしてクム・マプ(マプアナ・ディ・シルバ)がカヒコの衣装だけで凛と座っているのを見て、私も姿勢を正し、口元を引き締めました。 いつも思うのですが、不思議なことに儀式が始まると、その最中は寒さは忘れてしまえるのです。今回も儀式が始まったあとは、寒さ、痛さは踊っている、チャンティングしている最中は感じずに済みました。 冬至の儀式でいつも思うのは、空の星のキレイさです。満天の星に見守られて新年を迎えられるシアワセを毎年のように感じます。けれど、今年のハワイの「冬至の儀式」での星の様子をなぜか憶えていません。雨が振り、風が吹き、砂が肌に当たって痛かったことだけを鮮明に憶えています。東の方角がほんのりと紅くなり、和紙にインクが染み込んでいくように、その紅色がどんどんと広がっていきます。儀式の終わりです。 儀式をする空間というのは、それがどんな儀式であっても、異空間。そして非日常な空間です。ビーチの儀式をしているその一帯だけが、ポンとタイム・トリップをしたような空間になります。普通に暮らしている人は、真夜中にこうしてこんな風に人々が集まり、昔のやり方でフラを踊り、チャンティングをしていることなど知りません。誰も知らない、観客もいない、暗闇の中でお互いの息づかいだけで、共に踊り、チャンティングをし、太鼓を叩くのです。 私の一年は、初めてずくしで明けました。 日本では暖かく、ハワイでは寒くて痛かったというのも予想外の出来事でした。これらの時間が今年の私の道を象徴するのかどうかは予想がつきませんが、今年もまた、新しいこと、新しい人との縁を結びながら大切に日々を歩いていきたいなと、紅く染まった空の下で思いました。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る