オールド・ベイリーハウス・ミュージアムは、ハワイの歴史や美術品に関する展示を行う博物館で、西マウイの入口に位置するワイルクにあります。かつては施設博物館でしたが、今日ではマウイ歴史協会に寄贈され、管理運営が行われています。この博物館は、ワイルク市民センター歴史地区における歴史資産であり、国家歴史登録財に指定されています。

博物館全景
博物館全景

ロケーション

マウイ島のカフルイからワイルクを経てイアオ渓谷へ向かう途中に古い造りの白い洋館が現れます。小さな建物ですが、ハワイの歴史を知る上で貴重な資料を展示しています。

歴史

前述したように、石造りの建物はイアオ渓谷の入り口に位置します。この土地は、マウイ島最後の統治者だったカヘキリ2世の旧王宮地でした。オールド・ベイリーハウスは、ワイルク最初の洋館の1つで、1833年に建てられました。

当初はキリスト教会でしたが、4年後の1837年に全寮制のワイルク女子神学校となり、キリスト教の教義と読み書き算数、裁縫や家事などを教えました。当初は牧師が教師をしましたが、1844年にベイリー夫妻がこの学校の責任者となりました。

その後1847年に本土の資金援助が途絶え、建物と土地はハワイ王室に返還されました。その後、1850年にベイリー夫妻がそれらを購入し、土地の一部はサトウキビ農園として利用されました。

博物館のオープン
1951年にマウイ歴史協会が設立され、1957年に「ハレ・ホーイケイケ(展示の家)が開館しました。その後、日系人のマサル・ヨコウチがこの建物を購入し、マウイ島歴史協会に寄贈されました。

コア製のベッドとキルト
コア製のベッドとキルト

展示物

1階は、ハワイの半神カマプアアの神像(キイ)もあります。カマプアアは火の女神ペレの夫とされる神ですが、出自はブタ。そのためブタをイメージするような作品が多く見られるのですが、ベイリー     ハウス・ミュージアムに展示されているカマプアアは、まったく様相を異にしています。この木像はカメハメハ2世が統治していた1819年に保存され、今日に至るただひとつの貴重な民俗資料です。伝統文化における重要な偶像で、1819年にカメハメハ2世がキリスト教に帰依し、ヘイアウ(神殿)を含むあらゆる伝統信仰が廃棄されるなかで、破壊を免れたものです。おそらくはマウイ島唯一の、木製の神像です。このほかに、マウイ島固有の軟体動物標本があります。その多くは今日、絶滅種となってしまいました。また、エドワード・ベイリーが描いた19世紀のマウイ島の風景画が展示されています。

木製のカマプアアの神像(キイ)
木製のカマプアアの神像(キイ)

ラウハラ(タコノキの葉を用いた編細工)のマットやカパ(ハワイ伝統の不織布)、食器や武器、漁具、カロ(タロイモ)をこねる皿など、ハワイ王朝時代に用いられた道具も展示されています。なかでもカマプアアの木彫りは注目です。漁具のコーナーにはタコの仕掛けや漁の仕方を教える写真、もやい用の穴が空いた岩、時代や魚の種類ごとに変化する釣り針などが展示されています。これらはホノルルのビショップ博物館でも見られますが、マッコウクジラの骨を使用したレイのうち、写真のものはここでしか見られない珍しいものです。

マッコウクジラの骨と髪の毛のレイ
マッコウクジラの骨と髪の毛のレイ

2階にはハワイ王国時代の資料や王政時代の備品が展示されています。なかでもコアの木で作られたベッドをはじめとするコアの調度品が展示されている「コア・ルーム」は圧巻です。

また、すでに絶滅したハワイミツスイの1種であるオーオーの剥製が展示されています。この鳥はハワイ王朝時代に黄色の羽根を抜かれたため、生息数を激減させ絶滅したと思われていました。ところが1980年代に1羽が見つかり、大きな期待が寄せられたのです。しかしその後は発見されることなく、2度目の絶滅宣言となりました。

絶滅したオオ(ハワイミツスイの一種)
絶滅したオオ(ハワイミツスイの一種)

中庭にはデューク・カハナモクが1919年に使用したレッドウッド(セコイアの一種)のサーフボードや、1900年代に釣り用して使われたアウトリガーカヌーの「ホナウナウ」が展示されています。このカヌーは1本のコアの丸太から削り出したもので、ハワイで作られた最後のコア・カヌーです。

庭にはこの他にもコキオケオケオ(ハイビスカスの仲間)やカロ(タロイモ)、キー(ティーリーフ)、ハープウ(木生のシダ)など、在来の植物を中心に、ハワイの自然になじみの深い植物が植えられています。

オールド・ベイリー・ハウスの南側には、地元で作られた工芸品を扱うギフトショップがあります。ショップではこの博物館でしか入手できない資料のほか、マウイ砂糖博物館で販売されているものと同じ砂糖など、この島ゆかりのグッズが販売されています。

コア製のカヌー
コア製のカヌー

インフォメーション

住所:2375A Main Street, Wailuku, Maui
電話:(808)244-3326
営業時間:月~土の午前10時~午後4時(日曜日、独立記念日、クリスマス、新年は閉館)
入場料:大人7ドル、子供(7~12歳)2ドル、65歳以上5ドル、6歳以下無料

http://www.mauimuseum.org/

 

 

https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2021/04/SK14710.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2021/04/SK14710-150x150.jpg近藤純夫特集オールド・ベイリー・ハウス・ミュージアム,カヘキリ2世,ハレ・ホーイケイケ,ハワイ,マウイ島,ワイルク市民センター歴史地区オールド・ベイリーハウス・ミュージアムは、ハワイの歴史や美術品に関する展示を行う博物館で、西マウイの入口に位置するワイルクにあります。かつては施設博物館でしたが、今日ではマウイ歴史協会に寄贈され、管理運営が行われています。この博物館は、ワイルク市民センター歴史地区における歴史資産であり、国家歴史登録財に指定されています。 ロケーション マウイ島のカフルイからワイルクを経てイアオ渓谷へ向かう途中に古い造りの白い洋館が現れます。小さな建物ですが、ハワイの歴史を知る上で貴重な資料を展示しています。 歴史 前述したように、石造りの建物はイアオ渓谷の入り口に位置します。この土地は、マウイ島最後の統治者だったカヘキリ2世の旧王宮地でした。オールド・ベイリーハウスは、ワイルク最初の洋館の1つで、1833年に建てられました。 当初はキリスト教会でしたが、4年後の1837年に全寮制のワイルク女子神学校となり、キリスト教の教義と読み書き算数、裁縫や家事などを教えました。当初は牧師が教師をしましたが、1844年にベイリー夫妻がこの学校の責任者となりました。 その後1847年に本土の資金援助が途絶え、建物と土地はハワイ王室に返還されました。その後、1850年にベイリー夫妻がそれらを購入し、土地の一部はサトウキビ農園として利用されました。 博物館のオープン 1951年にマウイ歴史協会が設立され、1957年に「ハレ・ホーイケイケ(展示の家)が開館しました。その後、日系人のマサル・ヨコウチがこの建物を購入し、マウイ島歴史協会に寄贈されました。 展示物 1階は、ハワイの半神カマプアアの神像(キイ)もあります。カマプアアは火の女神ペレの夫とされる神ですが、出自はブタ。そのためブタをイメージするような作品が多く見られるのですが、ベイリー     ハウス・ミュージアムに展示されているカマプアアは、まったく様相を異にしています。この木像はカメハメハ2世が統治していた1819年に保存され、今日に至るただひとつの貴重な民俗資料です。伝統文化における重要な偶像で、1819年にカメハメハ2世がキリスト教に帰依し、ヘイアウ(神殿)を含むあらゆる伝統信仰が廃棄されるなかで、破壊を免れたものです。おそらくはマウイ島唯一の、木製の神像です。このほかに、マウイ島固有の軟体動物標本があります。その多くは今日、絶滅種となってしまいました。また、エドワード・ベイリーが描いた19世紀のマウイ島の風景画が展示されています。 ラウハラ(タコノキの葉を用いた編細工)のマットやカパ(ハワイ伝統の不織布)、食器や武器、漁具、カロ(タロイモ)をこねる皿など、ハワイ王朝時代に用いられた道具も展示されています。なかでもカマプアアの木彫りは注目です。漁具のコーナーにはタコの仕掛けや漁の仕方を教える写真、もやい用の穴が空いた岩、時代や魚の種類ごとに変化する釣り針などが展示されています。これらはホノルルのビショップ博物館でも見られますが、マッコウクジラの骨を使用したレイのうち、写真のものはここでしか見られない珍しいものです。 2階にはハワイ王国時代の資料や王政時代の備品が展示されています。なかでもコアの木で作られたベッドをはじめとするコアの調度品が展示されている「コア・ルーム」は圧巻です。 また、すでに絶滅したハワイミツスイの1種であるオーオーの剥製が展示されています。この鳥はハワイ王朝時代に黄色の羽根を抜かれたため、生息数を激減させ絶滅したと思われていました。ところが1980年代に1羽が見つかり、大きな期待が寄せられたのです。しかしその後は発見されることなく、2度目の絶滅宣言となりました。 中庭にはデューク・カハナモクが1919年に使用したレッドウッド(セコイアの一種)のサーフボードや、1900年代に釣り用して使われたアウトリガーカヌーの「ホナウナウ」が展示されています。このカヌーは1本のコアの丸太から削り出したもので、ハワイで作られた最後のコア・カヌーです。 庭にはこの他にもコキオケオケオ(ハイビスカスの仲間)やカロ(タロイモ)、キー(ティーリーフ)、ハープウ(木生のシダ)など、在来の植物を中心に、ハワイの自然になじみの深い植物が植えられています。 オールド・ベイリー・ハウスの南側には、地元で作られた工芸品を扱うギフトショップがあります。ショップではこの博物館でしか入手できない資料のほか、マウイ砂糖博物館で販売されているものと同じ砂糖など、この島ゆかりのグッズが販売されています。 インフォメーション 住所:2375A Main Street, Wailuku, Maui 電話:(808)244-3326 営業時間:月~土の午前10時~午後4時(日曜日、独立記念日、クリスマス、新年は閉館) 入場料:大人7ドル、子供(7~12歳)2ドル、65歳以上5ドル、6歳以下無料 http://www.mauimuseum.org/    ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る