レフアの蜜を吸うキンノジコ
レフアの蜜を吸うキンノジコ

ハワイの自然は決して安泰ではありません。ナショナルジオグラフィック誌によれば、全米の500分の1しかないハワイの土地には、全米の半分を占める絶滅危惧種がいます。なんと全米平均の250倍もの割合で、ハワイの固有生物は絶滅の危機に瀕しているのです。

なぜそのようになるのか? それは多数の外来生物が合衆国本土に較べるなら豆粒のように小さなハワイ諸島に押し寄せたことと、周囲の土地から3,000km以上も離れた孤島であったハワイは動植物が決まった共生関係を創りあげていたことから、侵入種に対してとても脆弱であったためです。

ここでは環境破壊の現状を何回かに分けてお伝えします。最初は山鳥の状況です。ここでは主に標高1,000m以上の高地に暮らす鳥を扱います。

ハワイの野鳥にもっとも大きな影響を与えるソウシチョウ
ハワイの野鳥にもっとも大きな影響を与えるソウシチョウ

ハワイ固有の山鳥は、ハワイミツスイ系(花蜜を主食とする)と、その他のフィンチ系(虫や果実を主食とする)、それ以外の鳥に分かれます。ハワイミツスイの仲間にはアパパネやイイヴィ、アマキヒ、アニアニアウ、アケパなど十数種類が確認されていますが、アパパネ以外のほとんどが絶滅を危惧されています。アパパネはオヒアの花であるレフアの蜜を主食とし、イイヴィはロベリアの蜜やレフアの蜜を吸います。これとは別の餌を必要とするハワイミツスイもいます。パリラは蜜を吸うようなクチバシを持ちません。この鳥は基本的にママネというマメ科の植物の豆を食べる(ときおり虫も食べます)ので、ママネと運命共同体と言えます。カササギヒタキ科に属するエレパイオは虫を、ツグミ科に属するオマオは主に果実や虫を食べます。

ハワイ在来の山鳥たちは限られた土地、限られた植物に共生して生きてきましたが、外来の鳥が侵入したり、人間の手によって解き放たされた結果、在来の鳥たちは厳しい環境に追いやられつつあります。

人の手によって絶滅させられたオオ
人の手によって絶滅させられたオオ

ハワイ諸島に人が住み着くまで、ハワイミツスイだけを取っても50種以上が生息したとされます。その後、キャプテン・クックの時代(18世紀末)には18種が確認され、現在はさらにその半分程度ではないかと推測されています。なかにはオオのように、絶滅が確認された在来の鳥もいます。

メジロ
メジロ科メグロ属のメジロは、日本では希少種で、無許可で捕獲すると犯罪になります。しかしハワイ諸島ではかなりの生息数になっています。なかでもハワイ島では都会から山奥まで広範囲に生息し、花蜜や昆虫などを食べます。とくに森に生息するメジロはレフアの蜜を吸うため、アパパネなど、ハワイミツスイの環境を荒らしています。

都会から山奥まで広く分布するメジロ
都会から山奥まで広く分布するメジロ

キンノジコ
フウキンチョウ科(以前はホオジロ科)キンノジコ属で南米の原産です。ハワイへの導入は比較的遅く、1960年代とされます。メジロと同様、レフアの蜜を吸います。アパパネに較べて一回り体が大きいため、キンノジコがいるとアパパネは同じ木には近づきません。

ヒバリ
ヒバリ科ヒバリ属のヒバリは種子や昆虫類を食べます。それほど生息数は多くありませんが、今後増える要素はあります。

キマユカナリア
アトリ科カナリア属のこの鳥はアフリカが原産で、とくにハワイ島のマウナ・ロアに多く分布します。また、キマユカナリアの近縁であるオオカナリアも紛れているようです。主に植物の種子や昆虫を食べます。

標高の高いところに分布域を広げるキマユカナリア
標高の高いところに分布域を広げるキマユカナリア

ソウシチョウ
チメドリ科ソウシチョウ属のこの鳥はアジア南部が原産です。ハワイには20世紀初期に人の手によって導入されました。日本を含む世界中の熱帯~温帯に生息し、その繁殖力の強さから有害種に指定されています。ハワイではメジロ以上に深刻な影響を与えていると言われています。

アカハラシキチョウ
ヒタキ科シキチョウ属のアカハラシキチョウは東南アジアが原産で、ハワイには20世紀半ばに導入されました。昆虫や果実を食べますが、縄張り意識が強く、周辺から他の鳥を追い払います。その結果、在来の鳥たちは生息域や餌が限られる結果が生じています。

縄張り意識の強いアカハラシキチョウ
縄張り意識の強いアカハラシキチョウ
ハワイの有害生物(1)https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/08/DSC4907.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/08/DSC4907-150x150.jpg近藤純夫特集アカハラシキチョウ,キマユカナリア,キンノジコ,ソウシチョウ,ハワイ,ヒバリ,メジロ,有害生物ハワイの自然は決して安泰ではありません。ナショナルジオグラフィック誌によれば、全米の500分の1しかないハワイの土地には、全米の半分を占める絶滅危惧種がいます。なんと全米平均の250倍もの割合で、ハワイの固有生物は絶滅の危機に瀕しているのです。 なぜそのようになるのか? それは多数の外来生物が合衆国本土に較べるなら豆粒のように小さなハワイ諸島に押し寄せたことと、周囲の土地から3,000km以上も離れた孤島であったハワイは動植物が決まった共生関係を創りあげていたことから、侵入種に対してとても脆弱であったためです。 ここでは環境破壊の現状を何回かに分けてお伝えします。最初は山鳥の状況です。ここでは主に標高1,000m以上の高地に暮らす鳥を扱います。 ハワイ固有の山鳥は、ハワイミツスイ系(花蜜を主食とする)と、その他のフィンチ系(虫や果実を主食とする)、それ以外の鳥に分かれます。ハワイミツスイの仲間にはアパパネやイイヴィ、アマキヒ、アニアニアウ、アケパなど十数種類が確認されていますが、アパパネ以外のほとんどが絶滅を危惧されています。アパパネはオヒアの花であるレフアの蜜を主食とし、イイヴィはロベリアの蜜やレフアの蜜を吸います。これとは別の餌を必要とするハワイミツスイもいます。パリラは蜜を吸うようなクチバシを持ちません。この鳥は基本的にママネというマメ科の植物の豆を食べる(ときおり虫も食べます)ので、ママネと運命共同体と言えます。カササギヒタキ科に属するエレパイオは虫を、ツグミ科に属するオマオは主に果実や虫を食べます。 ハワイ在来の山鳥たちは限られた土地、限られた植物に共生して生きてきましたが、外来の鳥が侵入したり、人間の手によって解き放たされた結果、在来の鳥たちは厳しい環境に追いやられつつあります。 ハワイ諸島に人が住み着くまで、ハワイミツスイだけを取っても50種以上が生息したとされます。その後、キャプテン・クックの時代(18世紀末)には18種が確認され、現在はさらにその半分程度ではないかと推測されています。なかにはオオのように、絶滅が確認された在来の鳥もいます。 メジロ メジロ科メグロ属のメジロは、日本では希少種で、無許可で捕獲すると犯罪になります。しかしハワイ諸島ではかなりの生息数になっています。なかでもハワイ島では都会から山奥まで広範囲に生息し、花蜜や昆虫などを食べます。とくに森に生息するメジロはレフアの蜜を吸うため、アパパネなど、ハワイミツスイの環境を荒らしています。 キンノジコ フウキンチョウ科(以前はホオジロ科)キンノジコ属で南米の原産です。ハワイへの導入は比較的遅く、1960年代とされます。メジロと同様、レフアの蜜を吸います。アパパネに較べて一回り体が大きいため、キンノジコがいるとアパパネは同じ木には近づきません。 ヒバリ ヒバリ科ヒバリ属のヒバリは種子や昆虫類を食べます。それほど生息数は多くありませんが、今後増える要素はあります。 キマユカナリア アトリ科カナリア属のこの鳥はアフリカが原産で、とくにハワイ島のマウナ・ロアに多く分布します。また、キマユカナリアの近縁であるオオカナリアも紛れているようです。主に植物の種子や昆虫を食べます。 ソウシチョウ チメドリ科ソウシチョウ属のこの鳥はアジア南部が原産です。ハワイには20世紀初期に人の手によって導入されました。日本を含む世界中の熱帯~温帯に生息し、その繁殖力の強さから有害種に指定されています。ハワイではメジロ以上に深刻な影響を与えていると言われています。 アカハラシキチョウ ヒタキ科シキチョウ属のアカハラシキチョウは東南アジアが原産で、ハワイには20世紀半ばに導入されました。昆虫や果実を食べますが、縄張り意識が強く、周辺から他の鳥を追い払います。その結果、在来の鳥たちは生息域や餌が限られる結果が生じています。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る