ハワイ火山国立公園はハワイ島のキラウエア火山を中心にした、火山をキーワードとする公園です。総面積は約1300平方キロメートル。公園内にはハワイ諸島第2の高山であるマウナ・ロアを含み、ときに火山活動を間近で見学することもできます。

ビジターセンター
ビジターセンター

ハワイ火山国立公園がオープンしたのは1916年のこと。当初はマウイ島のハレアカラを含みました。…というより、ハレアカラの国立公園化のついでに編入されたと言った方が良いでしょう。当時のハレアカラはハワイ固有の植物のひとつであるアーヒナヒナ(ギンケンソウ)が絶滅の一歩手前にありました。この植物を含む周辺の自然を守る運動が効を成しキラウエアとマウナ・ロアを含むハワイ島とともにハワイ火山国立公園が誕生しました。後にハレアカラはハレアカラ国立公園として1961年に独立し、さらに1969年には南麓のキパフルが加わりました。分離後のハワイ火山国立公園は1982年にユネスコの世界遺産に登録されました。

トーマス・A・ジャガー・ミュージアム
トーマス・A・ジャガー・ミュージアム

この公園でもっとも人気の高いキラウエア・カルデラとそのなかに誕生したハレマウマウ・クレーターはこれまでに何度も噴火し、ときに溶岩湖があふれ出して周囲に広がりました。現在も噴煙とマグマを出し続けています。マグマは地下数キロメートルにあるマグマ溜まり(ホットスポット)から上昇しますが、地中には何本もの通路があり、ハワイ島東部海域にあるロイヒという海底火山にも通じ、海のなかで成長を続けています。この海底火山は現在海面下1000メートルほどのところにあり、あと5万年ほどすると海面に顔を出すと言われています。

ハワイ火山観測所
ハワイ火山観測所

現在、島の東端に近いパホアの町では流れ下りてきた溶岩が町の一部を覆いはじめています。1980年代には同じことがカラパナの町で起こり、溶岩が町全体を呑みこんでしまいました。住人の多くはこの自然災害をやりきれない思いで捉えていますが、先住民やハワイの伝統宗教を信じる者のなかには、これは火の女神ペレが起こしたもので、島に住む者はこれに抗うべきではないと考える人もいます。このようにハワイ島の広い地域で火山活動はいまも続いています。ハワイ火山国立公園は生きた火山活動を目の当たりにできる貴重な場所と言えます。

レンジャーによるハレマウマウの解説
レンジャーによるハレマウマウの解説

キラウエア火山は、キラウエア・カルデラを中心に、そこから南の海岸へと下る道の両脇に出現するかつてのクレーター群で構成されています。ちなみにこの火山の山頂(標高1247メートル)についてはとくに表示がありませんが、ジャガー・ミュージアムと火山観測所の建物の裏手にあります。

キラウエア周辺から東南に広がる溶岩平原は数十万年前から溶岩が流れつづけ、今日に至ります。かつてはマウナ・ケアが、そして最初期にはコハラ半島の山々が噴火を繰り返していました。今日の溶岩はその大半が火山国立公園内に噴き出しています。現在南麓に見られる溶岩流の大半はマウナ・ウル噴火口から流れ出したもので、その後はプウ・オー・オー噴火口から、主に南に向かって流れ出していました。ところが昨年末から方向を東北東に変え、ついにパホアの町の一部を浸食しました。現在、この溶岩流の活動は先月の最盛時よりは衰えていますが、今後のことは不明です。

公園の基本情報や最新情報は公園ゲートのすぐ先にあるビジターセンター(午前7時45分~午後5時)で手に入ります。レンジャーから直接聞くことができますが、英語の苦手な人は日本語の資料が有料・無料ともにあるので、これを利用すると良いでしょう。入口からまっすぐ入った突き当たりにはミニシアターがあり、公園の基本情報を映像で流しています。(午前9時~午後4時)レンジャーによるガイドツアーなどもあります。通常は立ち入り禁止の場所や、情報を開示していない場所などもあるので、火山に関心のある人にはお勧めです。ビジターセンターの向かい側(間に小さな林があります)にはボルケーノ・ハウスがあります。この施設の詳細については、バックナンバーをご覧ください。

> ボルケーノハウス(その1) 2014年1月16日掲載
> ボルケーノハウス(その2) 2014年2月20日掲載

> ボルケーノハウスの宿泊は、日本公式サイトから予約できます

火の女神ペレのレリーフがある暖炉
火の女神ペレのレリーフがある暖炉

キラウエア・カルデラの外周はクレーター・リム・ドライブと呼ばれる一周17キロメートルほどの周遊道路となっており、途中には展望台や博物館、火山観測所、観光洞窟などがあります。ただし、カルデラの南西部周辺はハレマウマウ火口から立ちのぼる噴煙のため、立ち入りが禁止されています。ハレマウマウとは「マウマウのすみか」という意味ですが、マウマウはアマウというシダを指します。なぜここがアマウのすみか(ハレ・オ・アマウマウ)かと言うと、絶えず活動を続けているハレマウマウは火の女神ペレが住むところと信じられてきたからです。ペレはカマプアアという神と結婚するのですが、彼が独身時代に住んでいた森がアマウの森だったからだとされます。

火山と溶岩そのものに関する資料は火山観測所に隣接するトーマス A. ジャガー・ミュージアム(午前8時30分~午後5時)で見られます。 ビジターセンターとここには館内にショップが併設されています。

火山国立公園の地図
火山国立公園の地図

トップページは噴煙を上げるハレマウマウ火口とカルデラに架かった虹です。次回は公園南端とマウナ・ロアについてお話しします。

特集:ハワイ火山国立公園(1) | カワラ版https://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2015/10/hvnp05.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2015/10/hvnp05-150x150.jpg近藤純夫特集トーマス・A・ジャガー・ミュージアム,ハワイ,ハワイ火山観測所,国立公園,火山ハワイ火山国立公園はハワイ島のキラウエア火山を中心にした、火山をキーワードとする公園です。総面積は約1300平方キロメートル。公園内にはハワイ諸島第2の高山であるマウナ・ロアを含み、ときに火山活動を間近で見学することもできます。 ハワイ火山国立公園がオープンしたのは1916年のこと。当初はマウイ島のハレアカラを含みました。…というより、ハレアカラの国立公園化のついでに編入されたと言った方が良いでしょう。当時のハレアカラはハワイ固有の植物のひとつであるアーヒナヒナ(ギンケンソウ)が絶滅の一歩手前にありました。この植物を含む周辺の自然を守る運動が効を成しキラウエアとマウナ・ロアを含むハワイ島とともにハワイ火山国立公園が誕生しました。後にハレアカラはハレアカラ国立公園として1961年に独立し、さらに1969年には南麓のキパフルが加わりました。分離後のハワイ火山国立公園は1982年にユネスコの世界遺産に登録されました。 この公園でもっとも人気の高いキラウエア・カルデラとそのなかに誕生したハレマウマウ・クレーターはこれまでに何度も噴火し、ときに溶岩湖があふれ出して周囲に広がりました。現在も噴煙とマグマを出し続けています。マグマは地下数キロメートルにあるマグマ溜まり(ホットスポット)から上昇しますが、地中には何本もの通路があり、ハワイ島東部海域にあるロイヒという海底火山にも通じ、海のなかで成長を続けています。この海底火山は現在海面下1000メートルほどのところにあり、あと5万年ほどすると海面に顔を出すと言われています。 現在、島の東端に近いパホアの町では流れ下りてきた溶岩が町の一部を覆いはじめています。1980年代には同じことがカラパナの町で起こり、溶岩が町全体を呑みこんでしまいました。住人の多くはこの自然災害をやりきれない思いで捉えていますが、先住民やハワイの伝統宗教を信じる者のなかには、これは火の女神ペレが起こしたもので、島に住む者はこれに抗うべきではないと考える人もいます。このようにハワイ島の広い地域で火山活動はいまも続いています。ハワイ火山国立公園は生きた火山活動を目の当たりにできる貴重な場所と言えます。 キラウエア火山は、キラウエア・カルデラを中心に、そこから南の海岸へと下る道の両脇に出現するかつてのクレーター群で構成されています。ちなみにこの火山の山頂(標高1247メートル)についてはとくに表示がありませんが、ジャガー・ミュージアムと火山観測所の建物の裏手にあります。 キラウエア周辺から東南に広がる溶岩平原は数十万年前から溶岩が流れつづけ、今日に至ります。かつてはマウナ・ケアが、そして最初期にはコハラ半島の山々が噴火を繰り返していました。今日の溶岩はその大半が火山国立公園内に噴き出しています。現在南麓に見られる溶岩流の大半はマウナ・ウル噴火口から流れ出したもので、その後はプウ・オー・オー噴火口から、主に南に向かって流れ出していました。ところが昨年末から方向を東北東に変え、ついにパホアの町の一部を浸食しました。現在、この溶岩流の活動は先月の最盛時よりは衰えていますが、今後のことは不明です。 公園の基本情報や最新情報は公園ゲートのすぐ先にあるビジターセンター(午前7時45分~午後5時)で手に入ります。レンジャーから直接聞くことができますが、英語の苦手な人は日本語の資料が有料・無料ともにあるので、これを利用すると良いでしょう。入口からまっすぐ入った突き当たりにはミニシアターがあり、公園の基本情報を映像で流しています。(午前9時~午後4時)レンジャーによるガイドツアーなどもあります。通常は立ち入り禁止の場所や、情報を開示していない場所などもあるので、火山に関心のある人にはお勧めです。ビジターセンターの向かい側(間に小さな林があります)にはボルケーノ・ハウスがあります。この施設の詳細については、バックナンバーをご覧ください。 > ボルケーノハウス(その1) 2014年1月16日掲載 > ボルケーノハウス(その2) 2014年2月20日掲載 > ボルケーノハウスの宿泊は、日本公式サイトから予約できます キラウエア・カルデラの外周はクレーター・リム・ドライブと呼ばれる一周17キロメートルほどの周遊道路となっており、途中には展望台や博物館、火山観測所、観光洞窟などがあります。ただし、カルデラの南西部周辺はハレマウマウ火口から立ちのぼる噴煙のため、立ち入りが禁止されています。ハレマウマウとは「マウマウのすみか」という意味ですが、マウマウはアマウというシダを指します。なぜここがアマウのすみか(ハレ・オ・アマウマウ)かと言うと、絶えず活動を続けているハレマウマウは火の女神ペレが住むところと信じられてきたからです。ペレはカマプアアという神と結婚するのですが、彼が独身時代に住んでいた森がアマウの森だったからだとされます。 火山と溶岩そのものに関する資料は火山観測所に隣接するトーマス A. ジャガー・ミュージアム(午前8時30分~午後5時)で見られます。 ビジターセンターとここには館内にショップが併設されています。 トップページは噴煙を上げるハレマウマウ火口とカルデラに架かった虹です。次回は公園南端とマウナ・ロアについてお話しします。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る