マカダミアはヤマモガシ科の樹木で、園芸植物として人気のあるプロテアと同じ仲間です。オーストラリア東部のクイーンズランドが原産のため、マカダミアナッツという呼び名とともにクィーンズランドナッツとも呼ばれます。和名もこれに準じ、クイーンズランドナットノキと名づけられましたが、一般にはマカダミア、もしくはマカダミアナッツの木と呼ばれます。

実は完熟すると褐色となり地面に落ちる
実は完熟すると褐色となって落ちる

歴史

マカダミアは1857年にクイーンズランド州の東海岸で発見されました。名前の由来は発見者である植物学者のフォン・ミューラーが、友人の化学者であるジョン・マカダムの名を取ってつけたとされますが、他にも説はあります。当初は防風林として用いられましたが、やがて実の成分が注目され、食用として生産されはじめました。

マカダミアナッツにはコレステロールが含まれていず、不飽和脂肪酸という体に良い栄養素を83%も含みます。そこでマカダミアナッツの収穫を目的とした最初の農園が1880年代にオーストラリアにつくられました。その10年ほど後にハワイでも品種改良の研究が開始されました。1921年には、ホノルル近郊にあるハワイ大学の研究所で、商業生産を目指した改良が行われます。原種は甘味や脂肪分が不足していたのですが、20年に及ぶ改良研究で改良を行ない、商品化に成功します。

キアヴェに似た花をつける
キアヴェに似た花をつける

マカダミアナッツの研究が奨励された背景には、当時、コーヒー栽培の収益が思うように上がらなかったという事情がありました。しかし、皮肉にも研究と歩調を合わせるようにコーヒーの収益性は上がり、マカダミアナッツの農園主は苦境に陥りました。そこでハワイ州政府は1927年に栽培奨励と称し、マカダミアナッツ農園の従事者に免税の措置をとりました。これは5年間という時限立法でしたが、この結果、作付け面積は大きく伸びました。1959年には1417haにまで広がり、今日の隆盛にいたる基盤が確立したのです。

マカダミアは風に弱く、通常農園は強風が吹きつけない場所に作られるか、風上側に風に強い木を植林して防風林とします。寒さに弱いのでハワイであっても高所での栽培には向きません。さらに多くの雨を必要としつつ、水はけが良くないといけないのですが、ハワイ諸島は雨をためにくい火山大地ですからこの点は問題がありませんでした。

ナッツには3つの品種があります。ひとつは光殻種で、白い花を咲かせ、食用として用いられます。2つ目は粗殻種で、花は濃いピンク、実は楕円形をしています。食用あるいは台木として用いられます。3つ目は在来種で、実は小さくて硬く、商品価値は劣ります。マカダミアナッツは生産量が少なく高価に取り引きされるため、近年はコーヒー農園での間作としてもてはやされるようになりました。

風に弱い木。ヒダのある葉がよく目立つ
風に弱い木。ヒダのある葉が目立つ

1950年代に、マウイ島に住む日系人のM.タキタニ氏がチョコレートとマカダミアナッツをミックスすることを考えます。マカダミアナッツをミルクチョコレートに入れたものは、大人気となりました。60年には本拠地をオアフに移します。これが現在、もっとも流通量の多いハワイアンホスト社の歴史です。ホノルルでも爆発的な人気を呼び、70年代には、ハワイ土産の定番となり、今日に至ります。

ハワイ島ではコナとマヌカ、マウイ島ではハレアカラ山麓、カウアイ島では南岸などに大農園があります。世界の生産量はおよそ2万トンですが、ハワイ産が圧倒的に多く、1984年には8割を占めました。ハワイで栽培される代表的品種には、ケアウホウ、イカイカ、カケア、カウ、ケアアウなどがあります。ハワイのマカダミアナッツはチョコレート菓子などに加工されたものが主ですが、原料としてのナッツの生産と輸出はオーストラリアやケニア、グアテマラ、コスタリカなどでも行われています。

マカダミアナッツにはこのようにしてハワイ諸島で大きく商品価値を高めました。その結果、原産地のオーストラリアでもマカダミア栽培が広まり、今日ではカリフォルニア州にも観られるようになりました。環境さえ整えばマカダミアを栽培することはそれほど難しくはありません。農園では台木を用意して苗木を育てますが、家庭では種子から育てることもできます。その場合、水に浮かぶ実は取り除きます。

収獲した実。ハワイでは殻に入った実も販売される
収獲した実。ハワイでは殻に入った実も販売される

最後に、マカダミアナッツの面白い使い方をいくつか紹介しましょう。マカダミアナッツは脂肪分が多いので砕いて火をつけると、応急の照明として使うことができます。また、煎るとコーヒーの代用となり、アーモンド・コーヒーと呼ばれています。ナッツを潰してピーナッツバターに似たナッツバターとしても用いられます。マカダミアナッツはコレステロールがなく、上品な味にファンは多いですが、ナッツ10粒のカロリーは食パン1枚とほぼ同じです。食べすぎないよう、ほどほどにしておきましょう。

特徴

学名を Macadamia integrifolia と言い、英語ではマカダミア、あるいはクィーンズランドナッツと呼ばれます。和名もこれに倣います。ハワイ名はありません。原産地はオーストラリア東部で、生長すると6~10mになります。花序(小花の集合体)は12~15cmで、淡黄色の小さな花を房状につけます。葉は、細長い波状で密生します。枝先に短いツルを垂らし、その先に緑色の殻に覆われた実をつけます。実は2.5cmほどに生長すると地面に落ち、農家はそれを回収します。硬い殻の中には白色の仁があり、これを食用とします。

マカダミアナッツhttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2019/10/MG_6004.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2019/10/MG_6004-150x150.jpg近藤純夫特集クィーンズランドナッツ,マカダミア,マカダミアナッツマカダミアはヤマモガシ科の樹木で、園芸植物として人気のあるプロテアと同じ仲間です。オーストラリア東部のクイーンズランドが原産のため、マカダミアナッツという呼び名とともにクィーンズランドナッツとも呼ばれます。和名もこれに準じ、クイーンズランドナットノキと名づけられましたが、一般にはマカダミア、もしくはマカダミアナッツの木と呼ばれます。 歴史 マカダミアは1857年にクイーンズランド州の東海岸で発見されました。名前の由来は発見者である植物学者のフォン・ミューラーが、友人の化学者であるジョン・マカダムの名を取ってつけたとされますが、他にも説はあります。当初は防風林として用いられましたが、やがて実の成分が注目され、食用として生産されはじめました。 マカダミアナッツにはコレステロールが含まれていず、不飽和脂肪酸という体に良い栄養素を83%も含みます。そこでマカダミアナッツの収穫を目的とした最初の農園が1880年代にオーストラリアにつくられました。その10年ほど後にハワイでも品種改良の研究が開始されました。1921年には、ホノルル近郊にあるハワイ大学の研究所で、商業生産を目指した改良が行われます。原種は甘味や脂肪分が不足していたのですが、20年に及ぶ改良研究で改良を行ない、商品化に成功します。 マカダミアナッツの研究が奨励された背景には、当時、コーヒー栽培の収益が思うように上がらなかったという事情がありました。しかし、皮肉にも研究と歩調を合わせるようにコーヒーの収益性は上がり、マカダミアナッツの農園主は苦境に陥りました。そこでハワイ州政府は1927年に栽培奨励と称し、マカダミアナッツ農園の従事者に免税の措置をとりました。これは5年間という時限立法でしたが、この結果、作付け面積は大きく伸びました。1959年には1417haにまで広がり、今日の隆盛にいたる基盤が確立したのです。 マカダミアは風に弱く、通常農園は強風が吹きつけない場所に作られるか、風上側に風に強い木を植林して防風林とします。寒さに弱いのでハワイであっても高所での栽培には向きません。さらに多くの雨を必要としつつ、水はけが良くないといけないのですが、ハワイ諸島は雨をためにくい火山大地ですからこの点は問題がありませんでした。 ナッツには3つの品種があります。ひとつは光殻種で、白い花を咲かせ、食用として用いられます。2つ目は粗殻種で、花は濃いピンク、実は楕円形をしています。食用あるいは台木として用いられます。3つ目は在来種で、実は小さくて硬く、商品価値は劣ります。マカダミアナッツは生産量が少なく高価に取り引きされるため、近年はコーヒー農園での間作としてもてはやされるようになりました。 1950年代に、マウイ島に住む日系人のM.タキタニ氏がチョコレートとマカダミアナッツをミックスすることを考えます。マカダミアナッツをミルクチョコレートに入れたものは、大人気となりました。60年には本拠地をオアフに移します。これが現在、もっとも流通量の多いハワイアンホスト社の歴史です。ホノルルでも爆発的な人気を呼び、70年代には、ハワイ土産の定番となり、今日に至ります。 ハワイ島ではコナとマヌカ、マウイ島ではハレアカラ山麓、カウアイ島では南岸などに大農園があります。世界の生産量はおよそ2万トンですが、ハワイ産が圧倒的に多く、1984年には8割を占めました。ハワイで栽培される代表的品種には、ケアウホウ、イカイカ、カケア、カウ、ケアアウなどがあります。ハワイのマカダミアナッツはチョコレート菓子などに加工されたものが主ですが、原料としてのナッツの生産と輸出はオーストラリアやケニア、グアテマラ、コスタリカなどでも行われています。 マカダミアナッツにはこのようにしてハワイ諸島で大きく商品価値を高めました。その結果、原産地のオーストラリアでもマカダミア栽培が広まり、今日ではカリフォルニア州にも観られるようになりました。環境さえ整えばマカダミアを栽培することはそれほど難しくはありません。農園では台木を用意して苗木を育てますが、家庭では種子から育てることもできます。その場合、水に浮かぶ実は取り除きます。 最後に、マカダミアナッツの面白い使い方をいくつか紹介しましょう。マカダミアナッツは脂肪分が多いので砕いて火をつけると、応急の照明として使うことができます。また、煎るとコーヒーの代用となり、アーモンド・コーヒーと呼ばれています。ナッツを潰してピーナッツバターに似たナッツバターとしても用いられます。マカダミアナッツはコレステロールがなく、上品な味にファンは多いですが、ナッツ10粒のカロリーは食パン1枚とほぼ同じです。食べすぎないよう、ほどほどにしておきましょう。 特徴 学名を Macadamia integrifolia と言い、英語ではマカダミア、あるいはクィーンズランドナッツと呼ばれます。和名もこれに倣います。ハワイ名はありません。原産地はオーストラリア東部で、生長すると6~10mになります。花序(小花の集合体)は12~15cmで、淡黄色の小さな花を房状につけます。葉は、細長い波状で密生します。枝先に短いツルを垂らし、その先に緑色の殻に覆われた実をつけます。実は2.5cmほどに生長すると地面に落ち、農家はそれを回収します。硬い殻の中には白色の仁があり、これを食用とします。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る