ハワイの海岸は、溶岩を基本にさまざまな物質で形成されます。島の成長の過程でサンゴ礁が発生すると白砂の海岸が出現したり、土壌が形成されると土の海岸が出現します。この他に流木や河川から流出した岩石(溶岩由来)などもあります。しかし、ハワイ諸島は火山の噴火で誕生したため、基本的には溶岩で形成されます。

溶岩はどのような過程を経て海に到達し、崖や砂となるのでしょうか? 下の写真は、プウオーオーという噴火口から流れ出した溶岩です。ハワイ諸島の溶岩は玄武岩質溶岩と言って、粘り気が少なく、熱いうちは水のように流れます。ただし、噴火口から流れ出した溶岩はすべて同じような性質を持っているわけではなく、条件に応じて「滑らかな溶岩(パホエホエ)」と「ザラザラとした溶岩(アア)」に分かれます。いずれもよく見ると表面に多数の気泡があることがわかります。これは内部に含まれた水蒸気ガスが、急速に冷やされることで噴出したときに生じる跡です。

表面に無数の穴があいた溶岩
表面に無数の穴があいた溶岩
海岸に形成された溶岩棚
海岸に形成された溶岩棚

このように無数の穴があいた(多孔質な)溶岩は意外に脆く、大きな固まりが移動すると溶岩棚や崖を形成することもありますが、やがては砕かれて砂粒になります。下の写真はハワイ島南部にあるブラック・サンド・ビーチ(黒砂海岸)です。名前は黒砂ですが、実際には少し明るい色をしています。この海岸の名前はプナルウと言い、ハワイ語で「サンゴの砕け散った場所」という意味があります。黒い溶岩も長期間空気に触れると酸化したり、土壌と混ざり合ったりするので、次第に明るい色となるのです。

ブラック・サンド・ビーチ
ブラック・サンド・ビーチ
甲羅干しをするアオウミガメ
甲羅干しをするアオウミガメ

海まで達した溶岩は海水と接触して火山ガス(ほとんどは水蒸気)を発生させます。このとき、海に潜りこんだ溶岩はクロワッサンのように丸まって枕状溶岩となりますが、砕け散った溶岩は細かな断片となります。これらは波によって浸食を受け続け、次第に小さな固まりとなります。

同じような過程を経ても異なる色の砂浜を形成する溶岩もあって、代表的なものにグリーン・サンドがあります。こちらは橄欖岩の結晶(ペリドート)が集まってできたものです。一方、黒砂が堆積する要因は、溶岩中のガラス成分(シリカ、二酸化ケイ素)が主成分です。

海水と接触して巨大な噴煙を上げる溶岩
海水と接触して巨大な噴煙を上げる溶岩
溶岩棚の下に堆積した微小な溶岩(ブラック・サンド)
溶岩棚の下に堆積した微小な溶岩(ブラック・サンド)

小さな固まりと化した溶岩はとても滑らかでパウダーのような感触があります。拡大して観察すると、それぞれは溶岩が小さく砕かれてできたものの集合であることがわかります。大きさはさまざまで、下の写真には最大で15mm、最小のものは1mmに達しません。

拡大して見たブラックサンド。平均的なサイズは1mmほど。
拡大して見たブラックサンド。平均的なサイズは1mmほど。

このようにして誕生するブラック・サンドですが、大半は波が持ち去り、海岸にはごくわずに残されるにすぎません。漆黒の砂は思いのほか少ないのです。ブラック・サンド・ビーチは次第に色を変えつつ、溶岩の供給が止まるとともにさらに浸食を受け、やがてすべてが海のなかに消える運命にあります。その時間は何万年も何十万年もかかるように思えますが、早いものは数日、遅くても数十年で消失します。

その証拠は海底に存在します。キラウエアの南東に位置する海の底には溶岩の堆積物が広く分布しています。これらは、ピンポイント的には砂の堆積だったり、巨大な溶岩塊だったりしますが、全体的には大地が地滑りを起こして海底に流れ込んだことを示しています。

次回はプウ・オーオー噴火口を例に、溶岩が地表に到達してから流れ出すまでの特徴をお伝えします。

ブラック・サンド・ビーチができるまでhttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/06/IMG_4295.jpghttps://www.holoholo.world/kawaraban/wp-content/uploads/2016/06/IMG_4295-150x150.jpg近藤純夫特集ハワイの海岸は、溶岩を基本にさまざまな物質で形成されます。島の成長の過程でサンゴ礁が発生すると白砂の海岸が出現したり、土壌が形成されると土の海岸が出現します。この他に流木や河川から流出した岩石(溶岩由来)などもあります。しかし、ハワイ諸島は火山の噴火で誕生したため、基本的には溶岩で形成されます。 溶岩はどのような過程を経て海に到達し、崖や砂となるのでしょうか? 下の写真は、プウオーオーという噴火口から流れ出した溶岩です。ハワイ諸島の溶岩は玄武岩質溶岩と言って、粘り気が少なく、熱いうちは水のように流れます。ただし、噴火口から流れ出した溶岩はすべて同じような性質を持っているわけではなく、条件に応じて「滑らかな溶岩(パホエホエ)」と「ザラザラとした溶岩(アア)」に分かれます。いずれもよく見ると表面に多数の気泡があることがわかります。これは内部に含まれた水蒸気ガスが、急速に冷やされることで噴出したときに生じる跡です。 このように無数の穴があいた(多孔質な)溶岩は意外に脆く、大きな固まりが移動すると溶岩棚や崖を形成することもありますが、やがては砕かれて砂粒になります。下の写真はハワイ島南部にあるブラック・サンド・ビーチ(黒砂海岸)です。名前は黒砂ですが、実際には少し明るい色をしています。この海岸の名前はプナルウと言い、ハワイ語で「サンゴの砕け散った場所」という意味があります。黒い溶岩も長期間空気に触れると酸化したり、土壌と混ざり合ったりするので、次第に明るい色となるのです。 海まで達した溶岩は海水と接触して火山ガス(ほとんどは水蒸気)を発生させます。このとき、海に潜りこんだ溶岩はクロワッサンのように丸まって枕状溶岩となりますが、砕け散った溶岩は細かな断片となります。これらは波によって浸食を受け続け、次第に小さな固まりとなります。 同じような過程を経ても異なる色の砂浜を形成する溶岩もあって、代表的なものにグリーン・サンドがあります。こちらは橄欖岩の結晶(ペリドート)が集まってできたものです。一方、黒砂が堆積する要因は、溶岩中のガラス成分(シリカ、二酸化ケイ素)が主成分です。 小さな固まりと化した溶岩はとても滑らかでパウダーのような感触があります。拡大して観察すると、それぞれは溶岩が小さく砕かれてできたものの集合であることがわかります。大きさはさまざまで、下の写真には最大で15mm、最小のものは1mmに達しません。 このようにして誕生するブラック・サンドですが、大半は波が持ち去り、海岸にはごくわずに残されるにすぎません。漆黒の砂は思いのほか少ないのです。ブラック・サンド・ビーチは次第に色を変えつつ、溶岩の供給が止まるとともにさらに浸食を受け、やがてすべてが海のなかに消える運命にあります。その時間は何万年も何十万年もかかるように思えますが、早いものは数日、遅くても数十年で消失します。 その証拠は海底に存在します。キラウエアの南東に位置する海の底には溶岩の堆積物が広く分布しています。これらは、ピンポイント的には砂の堆積だったり、巨大な溶岩塊だったりしますが、全体的には大地が地滑りを起こして海底に流れ込んだことを示しています。 次回はプウ・オーオー噴火口を例に、溶岩が地表に到達してから流れ出すまでの特徴をお伝えします。ハワイの自然・文化・歴史、ライフスタイルを語る